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 ピアノなどの音楽教室で練習や指導で曲を演奏する際、作曲家らに料金を支払わないといけないのか――。音楽教室での演奏に著作権は及ぶかが焦点の裁判が6日、東京地裁で始まった。「著作権使用料は発生しない」として提訴した音楽教室側に対し、著作権料を徴収する方針の日本音楽著作権協会(JASRAC)は争う姿勢を示した。

 「指が開きすぎないようにして、次の音を準備しましょう」。東京・目黒で開かれたヤマハの大人向けバイオリン教室。笑顔の女性講師が指の動かし方を説明しながら演奏し、受講生5人が音を合わせる。教室を運営するヤマハ音楽振興会の担当者は「講師の演奏は曲の一部分が多いし、生徒の演奏にはミスが混じる。これがコンサートでの演奏と一緒なのでしょうか」と首をかしげる。

 JASRACが根拠に掲げる「演奏権」は、著作権法22条で「公衆に直接聞かせる目的で演奏する権利」と定められており、典型的な事例は多数の観客を前にしたコンサートだ。それと比べ、音楽教室での演奏は練習段階のもので、演奏権の対象とはいえない、というのが音楽教室の主張だ。

 この日、法廷でヤマハ音楽振興会の三木渡代表理事は「日本の音楽文化育成に音楽事業者の教育が大きく寄与してきた。徴収は音楽文化の発展に影響する」と訴えた。徴収反対の署名は57万人分集まったという。一方、JASRAC側は浅石道夫理事長が「(音楽教室の)受講料収入は年間約721億円に上る」と指摘。「音楽教室の教育的側面は理解するが、著作権料を負担してもらうことが公平だ」と反論した。

 浅石理事長は今回の訴訟に「百%の自信」を示す。長年の法廷闘争で積み重ねた裁判例があるからだ。1988年の最高裁判決で、スナックでの客のカラオケの歌唱について店から徴収することが認められた。いわゆる「カラオケ法理」だ。さらに99年、カラオケボックスの客の歌唱について店側から徴収できると主張して勝訴。2004年にはCDを流す料金をめぐる争いでダンス教室に勝訴した。

 ただ、文化審議会委員の上野達弘・早大教授ら専門家の間には88年の最高裁判決を疑問視する声も強い。「客の歌唱を店の歌唱とみなすものだが、理屈に無理がある。もう裁判で活用すべきではない。今回の訴訟も生徒の演奏を教室の演奏とはみなせない」と上野氏は話す。

 JASRACが勝訴したらどう…

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