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 市区町村が実施するがん検診を、国が示した手順に従って実施している自治体が40%台にとどまることが、国立がん研究センターの調査でわかった。同センターの担当者は「検診の質を保てない恐れがある」と警鐘を鳴らす。

 国は胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部(けいぶ)の五つのがんについて、科学的根拠のある検診のあり方を示し、推奨している。2008年に国は、検診の精度管理のため従うべき手順を作成。市区町村から事業者に委託する際に作る仕様書などと呼ばれる書類に、明記する項目を定めた。

 国立がん研究センターは16年度、全国約1700の市区町村を対象に調査。回答率は部位ごとに違うが70~80%台だった。

 乳房のエックス線検査の判定は2人ですることや胃のバリウム濃度など項目を明記し、守るよう求めたと回答した自治体は40%台だった。仕様書に基づいて委託先を選んでいたのは60%台。検診後に仕様書の内容が守られたかを確認していたのは30%前後だった。

 これまでも調査はされてきたが、今回初めて全市区町村ごとの状況が公開された。結果をまとめた同センター検診研究部の斎藤博部長は「手順どおりに実施されなければ、いくら受診率を上げてもがん死亡率の減少という検診の目的を達成することはできない」と指摘。「市区町村は調査結果をもとに点検し、正しく実施するための体制を整えてほしい」と話している。(南宏美)