[PR]

 「焼肉酒家えびす」で181人が発症し、5人が死亡したユッケ食中毒事件の損害賠償訴訟で、肉を卸した「大和屋商店」(東京都板橋区)と遺族や被害者らの間で和解が7日、金沢地裁で成立した。ただ、遺族らは「一生、事件と向き合っていかなければならない」と言い、怒りとやるせない思いを抱え続けている。

 訴訟には、「焼肉酒家えびす」の運営会社のフーズ・フォーラス(金沢市、特別清算手続き中)の代理人が被害者と認定した152人のうち、119人が参加。和解で、大和屋の受け取る保険金計1億円を10月末までに119人に分配する。和解条項には、大和屋側が「食中毒事件について心より陳謝する」という文言がある。同社の社長らはこれまで、遺族らと顔を合わせていない。

 次男を亡くした久保秀智さん(55)=小矢部市=は10月、次男の七回忌を迎える。生きていれば20歳。「息子の姿は14歳で止まったまま」と久保さん。「社長と会うことがあれば、許されるなら手を上げたい。姿さえ隠せばいい、そんな道理が通ると思うと心が煮えくりかえる」

 妻と義母を亡くした小西政弘さん(54)=砺波市=は、長女と長男も一時重体になった。長男は今月、精密検査で肝臓の25%が機能していないと診断された。小西さんは「一生が終わるまで、私たちは事件と向き合っていかなくてはならない」と話す。

 フーズ社の代理人はこの日、「遺族の方々には、フーズ社の社長や、厚生労働省への怒りはあるだろう」と言及。「それでも亡くなった方は帰ってこない。どこかで節目をつけなければならない」と話した。

 久保さんらは、フーズ社と大和屋を相手取り、計約2億5千万円の損害賠償を求めて東京地裁で争っているが、金沢地裁での和解で、大和屋は東京訴訟の被告から抜ける。

 また、富山地検は昨年、業務上過失致死傷容疑で書類送検されたフーズ社の元社長と大和屋の元役員を不起訴処分(嫌疑不十分)にした。久保さんらは今年度中にも、不起訴を不服として検察審査会に申し立てるという。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/

(高億翔、江向彩也夏、田中ゑれ奈)