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 世界中で野球の普及に努める日本人が多くいる。12の国と地域が参加し、カナダ・サンダーベイで開かれているU18(18歳以下)ワールドカップでもニカラグア代表のヘッドコーチを務める阿部翔太さん(26)の姿があった。

 阿部さんは福島県いわき市出身で、いわき光洋高、桜美林大で野球部に所属した。昨年10月から青年海外協力隊員として派遣され、U12、U18の代表選考などに携わり、今大会の代表スタッフに加わった。

 「ニカラグアでは野球は国技のように人気がある。僕たちは子どもたちに夢を与えに来ている」と言う。阿部さんによれば、ニカラグアの野球人気は、1970年代から90年代まで大リーグで完全試合を達成するなどの活躍を見せたニカラグア出身のデニス・マルティネス投手が火付け役だという。プロチームがあるほか、17の県ごとに各世代のチームがあるそうだ。

 首都のマナグアでアカデミーを開く一方、リュックに野球道具を詰めて、飛び込みで学校を訪問し、野球の楽しさを伝えている。夢の一つは、女子野球の基盤整備。「女性がボールを投げていると『醜い』と表現をする人もいる。サッカーもそう。スポーツはまだ男性のもの。でも、僕のアカデミーには10人の女子が参加してくれている。基盤作りに貢献したい」と語る。

 野球の普及に努めるなかで、ニカラグアで母国を感じることもしばしばある。アカデミーの道具は日本から寄付されたものが多い。「ホームベースには『南小』、ヘルメットにはカタカナで『ジャイアンツ』と書いてあるんです」。6日には、日本代表の練習を視察し、ボールを譲り受けた。ニカラグアにはボールの生産拠点がなく、輸入しているため高価だという。

 今大会、チームは1次リーグA組で5戦全敗し、各組の4位以下で最高7位を目指す下位リーグに回っている。阿部さんはお礼の意味も含めて、日本代表にエールを送った。「ニカラグアで技術のほかにも、道具を大事にすることや時間を守ることも教えています。だから絶対に1位になってください。僕の説得力も違ってくるので」とほほえんだ。(坂名信行)