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 広島が2度目のセ・リーグ連覇を成し遂げた。これは球界の盟主と言われ、資金力が豊富な巨人以外の球団はやっていない快挙だ。

 日米通算203勝を挙げた黒田博樹さん(42)が昨季限りで引退した。昨季リーグ最優秀選手の新井貴浩内野手(40)はベンチを温めることが多かった。そのなかで雨後のタケノコのように若い芽が伸びてきた。

 昨季までプロ2年間で4勝だった薮田和樹投手(25)は大化けした。14勝を挙げ、最多勝を争う。亜細亜大では幾度ものけがに悩まされて、リーグ戦の登板は2試合だけ。松田元(はじめ)オーナー(66)がたまたま乗ったタクシーの運転手が薮田の母親で、松田オーナーに視察を頼んだことが縁だった。スカウトが練習で投げる150キロの剛球に目をつけて、「隠し球」としてドラフト2位で獲得した。

 プロ10年目でこれまで規定打席に達したことのない安部友裕内野手(28)は打率3割以上を保つ。2007年秋の高校生ドラフト1巡目。キャンプでの「スーパー早出」と呼ばれる特訓でバットを振り込んだ。

 広島は親会社を持たない地方球団。運営資金は豊富ではない。素質ある選手の獲得と猛練習が生命線だ。低迷時もその方針を貫いた。松田オーナーは「持っているお金を考えると、成長を待つしかない。我慢して一人を大切にしないと」と語る。今季、12球団の日本人選手の平均年俸は3826万円で、広島は2767万円と11番目だ。1位ソフトバンクの7013万円の4割にも満たない。前回の連覇時の監督、古葉竹識(たけし)さん(81)は「広島にはスカウトの才がある。そして、鍛え上げることを大事にしていた」と振り返る。

 緒方孝市監督(48)は喜びをかみ締めた。「選手は求めている野球を当たり前にやっていける力をつけた。去年とはまた違ううれしさだね」。時が移ろえど、変わらぬ強化方針で2度目の黄金時代が到来した。(吉田純哉)