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 過労死弁護団全国連絡会議などは9日、東京都内で過重労働と医師の働き方を考えるシンポジウムを開いた。過労自殺した医師の遺族や代理人弁護士が登壇した。

 「速度計のない車を走らせるようなものだ」。新潟市民病院の女性研修医過労死問題の遺族側代理人を務める斎藤裕弁護士は、病院の勤務時間管理についてこう語った。病院側が把握していたこの研修医の時間外労働は、労働基準監督署が認定した時間の4分の1以下だったと指摘。電子カルテの記録など客観的なデータによる時間管理をするよう求めた。

 国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が月に300時間までの時間外労働を可能にする協定を結んでいたことを報告した松丸正弁護士は、「職場の中での労働時間管理が放棄されたのと同じ」と話した。

 また、この協定の公表後に「必要とあれば体力の限界まで協力するという意思表示だと思います。医師団の崇高な決意を破壊するのがお望みなのでしょうか」という意見が寄せられたことを明らかにした。

 松丸さんは「医療現場の考え方として、『あり』なのかもしれない」と理解を示しつつ、「今の医療現場は違法な長時間労働に支えられている。勤務医が壊れるか、労基法が順守されれば医療が壊れるかもしれないという問題で、喫緊に取り組まないといけない」と話した。

 18年前に小児科医の夫を過労自殺で亡くした中原のり子さんは、夫が亡くなる前に「『病院に殺される』と言っていた」ことを紹介。医師の過労死が後を絶たない現状について、「医療界が何も変わっていないのが悲しく切ない。誰も過労死しない社会になってほしい」と訴えた。

 医大で講演した後に、過労死で父親を亡くしたという医大生からもらった感想も紹介した。「子どもながらに何でこんなに働かせるのだろうと思った。あまりにもひどい。私たちのような家族を増やしてはいけない」。

 中原さんは「若い人を守るのが私たちの責任」と述べ、涙を流していた。

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