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 道路なのにETCじゃなく、PASMO(パスモ)? さいたま市緑区の新見沼大橋有料道路で、通行料を交通系ICカードのPASMOやSuica(スイカ)で払えるようになってから8年がたつ。しかし、利用率は低く、利用者の増加につながっているとはいえない状況だ。そもそも、なんでETCじゃないの?

 同有料道路は浦和方面と越谷方面を結ぶ国道463号のバイパスの一部で、広大な緑地「見沼田んぼ」を高架で横断する片側2車線の約1・4キロ。料金は普通車150円、軽自動車100円などで、軽車両等(自転車など)も20円かかる。

 浦和方面から橋を渡り、料金所でスマートフォンのスイカで料金を支払ってみる。両側に畑などを見ながら、1分ほどで越谷側にある料金所へ。現金と同様にいったん停止し、職員にスマホを渡してスイカで精算してもらうと、「通行券」とともにスマホが帰ってくる。ETCのようにノンストップで通過はできないが、小銭がいらない分、便利といえば便利、か。

 この短い有料道路は、国道463号の渋滞を緩和するため、1996年に埼玉県道路公社が事業費約108億円をかけて開通させた。しかし1日の交通量が約7千台と目標の半分程度にとどまっていたことから、利用者増につなげようと、一時はETC導入を検討した。

 ただ、ETCは「6レーンある料金所の1レーン当たり1億7千万円の設置費がかかり、メンテナンス費も高額」(同公社)だったことがネックになり、導入を断念。2009年、他の機器も含め計2400万円で済むパスモ(スイカも利用可。他の交通系ICカードは不可)の導入に踏み切った。他県ではスイカを導入(パスモも利用可)した例はあるが、パスモ協議会によると、有料道路でのパスモ導入は埼玉だけだ。

 ただ、導入後もパスモでの支払率は伸びず、昨年は利用者全体の2・62%。1日平均の交通量も、パスモ導入前の08年の7492台に比べて翌09年は7122台、昨年も7077台と減っており、利用者増にはつながっていない。

 一方、同道路の建設費約108億円のうち、国の貸付金54億円と民間からの借入金16億2千万円は返済済みだが、県の出資金37億8千万円の返済はすでに断念。開通後に新たに発生した、民間借り入れ分の利息と維持管理費など計40億円を、通行料が無料化される26年までに返済することを目指す。だが、利用者が今のままでは難しい状況だ。

 県道路公社の担当者は「迂回(うかい)路に流れる車などが多く、利用者が増えない。パスモや回数券など便利な支払い方法を周知して利用者増につなげたい」と話す。(平井茂雄)