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 国連安全保障理事会は11日夕(日本時間12日朝)、北朝鮮の6回目の核実験を受け、北朝鮮への石油輸出に上限を設けるなどした制裁決議を採択した。制裁に慎重な中ロも賛成し、全会一致だった。石油の全面禁輸を掲げた米国は中ロとの妥協で大幅譲歩を余儀なくされたが、「これまでよりはるかに強い決議」(ヘイリー米国連大使)と強調した。

 北朝鮮に対する制裁決議は今回で9回目で、石油が対象になるのは初めて。ヘイリー氏は「安保理は今回これまでと異なる行動を取った。燃料と資金を断つことで核開発計画を北朝鮮のならず者体制から取り上げようとしている。石油は核兵器の製造、運搬の原動力だ」と評価した。

 決議は国連加盟国に対し、ガソリンや軽油などの石油精製品について年間200万バレルという対北朝鮮輸出の上限を設け、原油については過去1年の輸出量400万バレルまでの輸出を認めた。米政府によると北朝鮮は石油精製品を年間450万バレル輸入しており、55%の削減となる。全体では3割の削減。全面禁輸には北朝鮮の不安定化を嫌う中国などが反対したが、日本の別所浩郎国連大使は「石油精製品がまさに(核開発などに)使われるもの。そこを抑えているのは非常に大事だ」と記者団に語った。

 決議はまた、北朝鮮の繊維製品の輸出を禁止。繊維製品はこれまでの制裁に含まれていなかった北朝鮮の唯一の主力産業で、1年で7億6千万ドル(約830億円)を稼いでいた。今回繊維製品を禁輸対象としたことで、北朝鮮の輸出の9割が制裁対象になるという。

 北朝鮮が核や弾道ミサイル開発にあてる外貨稼ぎの手段にしているとされる労働者派遣は、現行の契約期間終了後は更新できなくした。北朝鮮は推計9万3千人の労働者を派遣しており、契約がすべて終了すれば5億ドル(約550億円)の影響があるといい、制裁が完全に履行されれば繊維製品と合わせて約13億ドルの資金を断つことになるという。

 当初案では金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長の在外資産凍結や渡航禁止を盛り込んだが、北朝鮮が態度を硬化させる可能性があることなどから取り下げられた。

 制裁に慎重だった中国やロシアは「北朝鮮の核実験を強く非難する」(劉結一・中国国連大使)などとして、決議賛成に回った。両国はその一方で対話の必要性を何度も強調して米国の対応も批判、米国などとの温度差もあらわになった。(ニューヨーク=鵜飼啓

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