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 学校法人加計(かけ)学園による、愛媛県今治市での獣医学部新設計画をめぐって、自治体の補助金のあり方が議論されている。誘致した大学に通う若者らで活性化した自治体もあるが、学生集めに苦しみ、多額の公費を費やしながら撤退されるケースも相次いでいる。

 今治市議会は3月、36億7500万円相当の予定地(16・8ヘクタール)を加計学園に無償譲渡し、建設費など経費約192億円のうち半額の96億円を補助すると決めた。大学誘致は人口減に悩む市が約40年前から掲げてきた。将来的に学生や教職員ら計1千数百人が市内で消費することなどを想定した経済波及効果を、年約20億円と試算する。

 補助金のうち32億円は県の分担を見込むが、地元の自民県議は「学生が集まるのか心配だ。30億円以上の税金を出していいものか……」と悩む。

 文部科学省による2008年度から10年間分の調査では、今治のように自治体が学校や学部の開設時に補助金を出した事例は27件で、総額は約207億円(予定額を含む)に上る。10億円以上(同)の補助は5件。最高額は獣医学部と同様に国家戦略特区で認められ、今春開設された国際医療福祉大医学部(千葉県成田市)の80億円だった。建設費などに成田市が45億円、県が35億円を補助。校舎の土地も市が22億7600万円で取得し、無償貸与した。補助金額は計画段階の経費の半分にあたり、今治市も「補助の参考にした」という。

 成田市の担当者は「街づくりの一環で誘致したので、支援が必要と判断した」と説明。「地域の医師不足、看護師不足を解消したい思いもあった」と話す。1期生は140人の定員に、3478人が志願。すでに学生が地域の行事や医療系のボランティアに参加しているという。

 ほかにも、16年に医学部を新設した東北医科薬科大(仙台市)に、宮城県が30億円を補助。15年開学の鳥取看護大(鳥取県倉吉市)には、県や市などが計約16億円を支出している。

 文科省の調査前の00年に開学した立命館アジア太平洋大(大分県別府市)には県が150億円、市が42億円を補助。総事業費の約3分の2の負担で、市有地42ヘクタールを無償譲渡した。今村正治副学長は「県の熱烈な訴えと補助がなければ開学は難しかった」。

 学生、教員計6千人超の半数が海外から集まり、日英2カ国語で受講できるなど、国際化に力を入れる。地域とのつながりが深まるよう、開学前に市内に全戸配布したチラシや説明会で大学の方針をPRしてきた。別府市の15年の人口構成比は20~24歳が6%に上り、全国平均の4・7%を上回った。

 県が開学10年を機に行った検証では、県内の経済効果は年約211億円としており、県の担当者は「東南アジアの優秀な学生が多く、卒業後も県内企業と連携をとる動きがある」と話す。

■多額の補助金、でも移転

 都心から電車で約1時間。埼玉…

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