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 9月初旬に廃刊に追い込まれたカンボジアの日刊英字紙「カンボジア・デイリー」の副発行者デボラ・クリッシャー・スティール氏が12日、東京の日本外国特派員協会で記者会見した。廃刊の原因となった同国政府による巨額の納税要求について「当局と交渉したいが、応じてもらえない」と訴えた。

 8月上旬に政府から突然、過去10年分の税額として630万ドル(約6億9千万円)の支払いを求められたと説明。「我々は利益がほとんどない。あり得ない税だ」と述べた。税務当局に詳細な説明や交渉を求めたが反応はなく、9月4日までに支払わなければ廃刊になることなどは、政府系新聞を通じて知ったという。デボラ氏は「再開したい思いはあるが、打つ手がない」と訴えた。

 同紙は、1975年に昭和天皇と単独会見した同氏の父で、米ニューズウィーク誌のバーナード・クリッシャー元東京支局長が93年に創刊。91年までの内戦時代を経て民主化を試みる同国で「恐れず、公平に」を掲げ、英語とクメール語で報道してきた。

 廃刊は、政府に批判的な記事も掲載する同紙への政権の圧力によるものとみられている。最後の発行となった4日付の紙面では、1面の大見出しで「明確な独裁に成り下がった」と、政権を批判した。最大野党・救国党の党首が「米国と共謀して政権転覆をはかろうとした」として国家反逆容疑で逮捕されたことや自紙の廃刊も伝えた。

 同国では来夏の総選挙でフン・セン政権の与党の苦戦が予想され、政権はメディアの閉鎖や人権活動家の逮捕、米国系NGOの活動停止など政府批判もいとわない機関への圧力を強めている。(平井良和)