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 2016年1月、胆道閉鎖症のため生後6カ月で生体肝移植を受けた井口陽夏乃ちゃん(2)は、術後4日目に高熱が出た。拒絶反応か感染症によるものだった。臓器を提供した母親の幸司(ゆきじ)さん(33)は「私の肝臓、言うこと聞いて」と祈った。

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の主治医、笠原群生さん(51)らはステロイドを大量投与するパルス療法で拒絶反応を抑えた。拒絶反応を起こさないために飲む免疫抑制剤の量も少し増やした。腎機能の低下を気にしながらの微調整だ。

 容体が安定し、2月21日に退院した。幸司さんは「うれしかったが、同じ病気で移植手術を受けたお友達の母子に会えなくなるのは寂しかった」。移植すれば一生、免疫抑制剤を服用し、定期的に受診しなければならない。ドナーの幸司さんも、1年に1回の検査が続いていく。入院中知り合った同じ病気の子を持つママ友に紹介され、困った時のために相談し合う、移植患者の親たちによる「LINE」のグループにも入った。

 自宅に戻ると感染症が怖くなり、外出に神経をとがらせた。免疫抑制剤で免疫力が低下しているため、感染症が重症化することがあるからだ。公園に行っても保育園の子どもが来ると帰った。児童館にも行かなかった。家には大好きなアンパンマンのグッズがあふれた。出産直後から看病や移植手術などが続き、地元にママ友をつくるきっかけも失っていた。

 4月、見知らぬ番号から電話が…

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