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 映像化されることを前提に書いた小説が刊行された。主演俳優も決定済みという変わりよう。出版市場が縮小する中、出版社はメディアミックスの手法を模索する。新感覚の物語はどんな事情で生まれたのか。

 表紙には「写真(モデル)大泉洋」という、見慣れない表記。作家・塩田武士の新刊「騙(だま)し絵の牙」(KADOKAWA)は、変わった小説だ。映像化を前提に大泉を「当て書き」。文章に合わせ、頭の中で大泉が動き出すような仕掛けが盛り込まれている。8月31日の発売日当日に3刷りが決まるなど、好調な滑り出しだ。

 主人公は、大手出版社でカルチャー誌の編集長を務める速水輝也。出版不況のあおりで休刊の危機に立たされ、社内政治に忙しい上司や扱いにくい大作家らに翻弄(ほんろう)されながら、雑誌を守るために奮闘する。

 業界に一石を投じる物語であると同時に、プロジェクト自体が新たな試みになっている。映画化やドラマ化を契機に原作を売るのがメディアミックスの定石だが、映像化に向くベストセラーは限られる。担当編集者の村井有紀子さんは「出版社は映像化に待ちの姿勢だった。流れを逆にしたらどうかと考えた」。最初から人気俳優が演じることを想定し、実力派の作家に書いてもらおうという大胆な企画。大泉ファンの塩田に白羽の矢を立て、「単なるエンタメでなく社会派の作品に」と依頼した。

 小説内で「眠そうな二重瞼(ふたえまぶた)の目と常に笑みが浮かんでいるような口元に愛敬があり」と描写される速水は大泉そのもの。「容姿だけでなく、本人が言いそうなセリフを無理なく取り込まないといけない」と塩田。

 例えば冒頭、大物作家のパーティーであいさつに指名された速水は「えっ、先生。私、今、ロブスターに手をつけたところですよ!」とおどけて会場を沸かせる。次ページにはロブスターを手にした大泉の写真。「読んだら明確に大泉さんが浮かぶ新感覚の小説で、映像化したら百%はまり役になる」。大泉が出演するバラエティーや舞台を見て研究し、本人とも会って意見を取り入れた。登場する物まねのレパートリーは大泉自身のものだ。

 すでに映像化の申し出は複数あり、検討が進む。大泉はこんなコメントを寄せている。「何より恐れているのが、この小説が映画化されたとき、速水役が私ではない、ということです」(滝沢文那)

■多面展開、出版社自ら仕…

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