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 2016年度に医療機関に支払われた医療費の速報値となる「概算医療費」は前年度より2千億円少ない41兆3千億円で、02年度以来14年ぶりに減少に転じた。国民1人当たりの医療費も2千円減って、32万5千円になった。前年度に利用が急増した高額治療薬の価格引き下げなどが要因だ。ただ、75歳以上の医療費は伸び続けており、減少は一時的とみられる。

 厚生労働省が15日に公表した。概算医療費は医療保険給付と公費、患者の自己負担分の合計。労災や全額自己負担の治療費は含まず、約1年後に確定値として公表する「国民医療費」の約98%に相当する。

 主な要因が調剤費の減少だ。15年度はC型肝炎治療薬「ソバルディ」と「ハーボニー」が相次いで公的保険の対象になった。1錠約6万~8万円と高額で、同年度の調剤費は前年度より9・4%伸びた。

 このため政府は、年間販売額が極めて大きい薬の価格を引き下げるルールを適用し、16年度はこれらの価格が3割ほど下がった。こうした薬は長期投薬の必要がなく、完治が見込めることもあり、調剤費が前年度より4・8%減った。

 一方、75歳以上の医療費は伸び続け、前年度から1・2%増えた。厚労省の担当者は「全体の医療費の減少は一時的なもので、高齢化や医療の高度化で費用が増える傾向に変わりはない」とみている。

 来年度は、医療の公定価格となる「診療報酬」の2年に1度の改定期を迎える。改定率は来年度以降の医療費の増減を大きく左右する。日本医師会など診療側は人件費確保のためプラス改定を、保険者側は医療保険の持続可能性を求めマイナス改定を求めており、政府が改定率を決める年末にかけて議論が激しくなりそうだ。改定作業では高額薬に対処するため、費用対効果によって価格を調整する仕組みなども検討されている。(水戸部六美)

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