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 大学院の博士課程を修了後、大学などでの常勤職を目指しながら、非常勤講師や任期制のポスドク(博士研究員)として働き続ける人が少なくない。将来に不安を抱えながら研究に励む博士学生の現状を知ってもらおうと、日々の生活や修了後のキャリアパスに焦点を当てた書籍や冊子が登場している。

 昨年12月、雑誌「博士世界」が創刊された。企画したのは、東京大や東京工業大の大学院生ら4人。きっかけは、進学後に理想と現実のギャップや、世間からの無理解に悩む博士学生の姿を度々見かけたことだった。大上真礼(おおうえまあや)編集長(29)は、東大大学院教育学研究科の博士課程に所属し、今春からは和洋女子大で任期制の助手としても働く。

 文部科学省が発表した今年度の学校基本調査(速報値)によると、博士課程への入学者数は1万4766人。10年前より2千人以上減った。背景の一つには進路への不安があると思われる。今年3月までの1年間の博士課程修了者のうち、進学も就職もしていない人の割合は18・8%になる。

 同省科学技術・学術政策研究所の「科学技術指標2017」では、日本の人口100万人あたりの博士号取得者数は、日・米・独・仏・英・中・韓の7カ国中6位だ。1位ドイツの344人に対して日本は121人にとどまる。日本では1990年代に国が推進した「大学院重点化」で博士の数は増えたが、修了後に活躍できるポストは思うように増えなかった。近年では非常勤講師やポスドクの高齢化も問題になっている。

 大上編集長自身は、修士課程の在学中から博士は大変だと聞いていたが、具体的にどう大変なのかはよく分かっていなかったという。「博士課程について知らないまま進学して苦労した点などをまとめれば、ニーズがあると思いました」

 創刊号の特集は「博士学生の家計簿」。6人の実例を元に、国立と私立の別、親との同居や配偶者・子の有無などによるお金のやりくりの違いをまとめた。奨学金の返済免除や、様々な補助・助成の規定を事前に調べる大切さも説いた。

 現在4号まで発行し、時間の使…

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