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 選手の健康を考え、夏の選手権大会で延長18回打ち切り規定ができたのは第40回大会(1958年)。42年後の2000年から、その規定が15回に短縮された。今度はわずか18年で次のステップに進むことになる。

 時代や環境が変化するスピードからすれば、当然なのかもしれない。日本高校野球連盟が選手の障害予防対策に本腰を入れ、複数投手の育成を呼びかけて四半世紀になる。その意識は全国の加盟校にかなり浸透した。コンディショニング理論も急速に進化し、スポーツ整形医やトレーナーと連携するチームも増えた。

 もはや1人の大エースが、フラフラになるまで投げ続ける時代ではない。実際、今夏の甲子園で1人の投手しか登板しなかったチームは、初戦敗退の5校だけだった。

 タイブレークには十三回から入る。過去10年間の甲子園大会を見ると、夏は延長になった43試合のうち42試合、春は35試合のうち26試合が十二回までに決着している。できるだけ自然な形で勝敗をつけさせてあげたいという現場の声に配慮すれば、延長十回からタイブレークという判断はないだろう。

 決勝は導入しない方針だが、再々試合を避けるため、再試合についてはタイブレークを採用することになりそうだ。

 夏の地方大会については導入が決まっておらず、これから議論する。「甲子園出場」という大きな夢をかなえた全国大会に対し、地方大会にはその夢がかかる。3年生にとっては最後の大会になる。都道府県高野連のアンケートでも「地方大会は導入しないで欲しい」という声が多くあがっていた。参加校数や試合日程など、大会によって事情も違う。各高野連の裁量に任せていいのではないか。

 タイブレークの導入により、引き分け再試合がなくなる。大会日程が過密になり、多くのチームが無理な連戦を強いられる可能性は大幅に減るが、これですべてが解決するわけではない。むしろ、新しい形の甲子園大会がスタートする第一歩と考えるべきだろう。

 この制度は元来、大会日程の消化を目的としている。投手の障害を予防する制度ではない。連戦を避けるためには、休養日の増設も考えるべきだろう。さらに投手の投球数や投球回数、連投の制限についても検討しなければならない。

 新しい100年の高校野球のために、現場や専門家と議論を続けて欲しい。(編集委員・安藤嘉浩

春夏の甲子園大会で延長13回以降に突入した試合

(引き分け規定が15回に短縮された2000年以降)

【選抜大会】

75回

 2回戦 花咲徳栄4―3秀岳館 13回

 準々決勝 花咲徳栄2―2東洋大姫路 15回※

76回

 2回戦 社2―1鵡川 14回

78回

 2回戦 早稲田実7―7関西 15回※

 2回戦 清峰3―2東海大相模 14回

80回

 3回戦 平安3―3鹿児島工 15回※

81回

 1回戦 福知山成美5―2国士舘 15回

85回

 2回戦 済美4―3広陵 13回

86回

 1回戦 豊川4―3日本文理 13回

 1回戦 明徳義塾3―2智弁和歌山 15回

 2回戦 桐生第一1―1広島新庄 15回※

89回

 1回戦 滋賀学園6―2東海大市原望洋 14回

 2回戦 福岡大大濠1―1滋賀学園 15回※

 2回戦 福井工大福井7―7健大高崎 15回※

【選手権大会】

84回

 1回戦 桐光学園3―0鳥栖 13回

87回

 1回戦 清峰4―2愛工大名電 13回

88回

 3回戦 日大山形11―10今治西 13回

 決勝 早稲田実1―1駒大苫小牧 15回※

89回

 2回戦 佐賀北4―4宇治山田商 15回※

 準々決勝 佐賀北4―3帝京 13回

93回

 1回戦 如水館3―2関商工 13回

※は引き分け再試合