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■文化の扉

 1人が五七五を詠んだら次の人が七七を詠み、また別の人が五七五……と、長句と短句を連ねる「連句」。現在の俳句の母体であり、かつては連句が主流だった。他人と共に創作する「座の文芸」のだいご味が、今また注目されている。

■36句詠む「歌仙」 発想の飛躍がだいご味

 筆と硯(すずり)を置いた卓を囲み、にぎやかな話し声が続く。歌人の岡野弘彦さん(93)、文芸評論家の三浦雅士さん(70)、俳人の長谷川櫂さん(63)が毎月開く連句の会。

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 36句詠むので和歌の名手三十六歌仙にちなみ「歌仙」という。松尾芭蕉以来、連句で最もポピュラーな形式だ。流れは「序破急」で表される。

 厳かな場かと思いきや、1人が黙考中に他の2人はしゃべっている。話題も句の出来から近況、岡野さんの師・折口信夫の思い出話までと尽きない。岡野さんと三浦さんは、句ができると「捌(さば)き」役の長谷川さんにみてもらう。捌きは式目(しきもく)というルールに則しているかを判断し、時に修正も提案する。一句一句も作品で、全体も一つの作品。捌きは連句の深みや広がりを左右する重要な役どころだ。「視点を転換し、発想の飛躍で一座を驚かせるのが面白い」と三浦さん。歌仙の粋を「切断と再結合」にみる。

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 この席では、鰻(うなぎ)→紐(ひも)→地震(ない)→「プーさん抱いて泣くはどこの子」(櫂)と展開し、5時間かけて11句まで詠んだ。連句を詠むのは「巻く」といい、歌仙のタイトル「○○の巻」は最初の句「発句(ほっく)」の中から取る。今回は「秋蟬(あきぜみ)の巻」となった。

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■恋の句や花の句を入れるルールも

 歴史は和歌にさかのぼる。

 和歌から、五七五、七七をみや…

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