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 今夏の全国高校野球選手権大会で準優勝した広陵(広島)が16日、春の選抜につながる秋季広島県大会の開幕戦に登場した。三次きんさいスタジアムであった1回戦で、夏の広島大会決勝で対戦した広島新庄を3―1で破った。

 「(広島で)一番嫌な相手」。中井哲之監督がそう警戒する難敵の攻略に、甲子園で悔しさを味わった2人が貢献した。

 先発は右腕の森悠祐が任された。甲子園では3試合に登板したが、1回戦の中京大中京戦(愛知)では1死も取れずに3失点。決勝でもマウンドにあがったが、大勢が決まった九回2死から。「いい経験は最後の登板だけ。悔しさしかなかった」。その体験が、新チームで生きた。

 一、二回と、先頭に安打を許す。雨の影響もあってボールが先行しがち。たいていの投手なら嫌な気配を感じる場面。だが森は、「あんなに観衆のいる甲子園に比べたら、普通でした」。最速145キロ超の直球を軸にして、八回まで無失点のまま投げ続けた。

 打線は2番の高田桐利(きり)が引っ張った。三回1死一、二塁、広島新庄・竹辺の直球を中越えに運び、先制の二塁打とした。「甲子園で(先発で)出られなかった悔しさをぶつける」と意気込んだ試合で、3安打2打点を記録した。

 高田は中京大中京戦の前日練習で、右ひじに死球を受けた。状態は徐々に悪化していき、ボールが投げられないほどに。1、2回戦は遊撃で先発したが、3回戦以降は控えに。9月4日に患部から血の塊を取り除く手術を受け、ぎりぎり間に合った。

 新庄戦を翌日に控えた15日の練習終わり。山あいにある広陵のグラウンドに、「新庄、倒せ」というエールが響いた。声の主は、甲子園で活躍した中村奨成ら3年生たち。下級生はこう叫んだ。「選抜、行くぞ」。高田は「優勝できなかった悔しさは忘れない。3年生の思いも背負って、もう一度、あそこにいきたい」と思いを新たにした。

 2人の活躍で快勝ムードだったが、九回に一変した。森が崩れた。先頭から安打と三塁打を浴びて1点を失い、無死一、三塁のピンチを残して降板。2番手の1年生、石原が踏ん張り、逃げ切った。中井監督は「長い冬にならんでよかった」と笑顔。と思いきや、顔をしかめて言った。「もう一回、謙虚に、謙虚に。調子に乗るな、と選手には言いますよ」(小俣勇貴

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