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(18日、広島3―2阪神)

 広島は26年ぶりとなる地元での歓喜を逃して、甲子園に乗り込んできた。「1試合でも早く決めたい」。緒方監督の気負いは選手に伝わっていた。四回まで毎回、先頭打者が出塁するも、自慢の打線は2点しか奪えない。七回には2番手の一岡で追いつかれ、「勝利の方程式」が崩れた。

 3試合連続で先発起用されたバティスタは、そんな重苦しい雰囲気もどこ吹く風。同点の八回1死一、二塁で、初球を果敢に振っていった。外角への149キロ速球を、三遊間に力強くはじき返した。「緊張はなかった。優勝が決まる決勝打、気持ちいいね。日本に来て良かった」。一塁塁上では軽く手をたたいた。

 野球を一度、あきらめた身だから強い。5年間、大リーグのマイナーでプレーしたが芽が出ず、母国ドミニカ共和国で、広島が運営する野球学校「カープアカデミー」に拾われた。長打力を買われ、昨年3月に育成選手となり、今年6月には支配下登録された。

 「カープアカデミー」は「金の卵」を自前で育てようと1990年に設立されたが、資金力豊富な大リーグ球団に新人獲得で後れをとるようになり、野手育成からは一度、手を引いた。だが、5年前に視察した松田オーナーが「大リーグから落ちてくる子を拾った方がいい」と方針転換。「落ちこぼれ」を、広島式の猛練習で鍛え上げ、日本に送った。その「新生1期生」がバティスタだった。

 バティスタの推定年俸は520万円。そんな格安助っ人が大仕事をやってのける。広島らしい痛快なストーリーで連覇を果たした。(吉田純哉)

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 ○緒方監督(広) 「(鈴木の離脱などがあり)ピンチだったが、若い選手がチャンスと思って何人も活躍してくれ、チームの底上げにもつながった。昨年は最後に悔しい思いをした。ぜひ日本一を勝ち取りたい」

 ○菊池(広) 「まだ試合も残っているし、その先のCS、日本一が目標。また明日から、調子を上げていけたらと思う」

 ○中崎(広) 九回を3人で締め、胴上げ投手に。「とてもありがたい。最後まで頑張ってよかった」

 ○安部(広) 「自分はアピールしないといけない立場。キャンプから『連覇に貢献する』とやってきた。実現できた」

 ○薮田(広) 14勝で勝ち頭。「貢献出来てうれしい。コーチやトレーナーの方のサポートがあったから、ここまで投げられた」

 ○ジョンソン(広) 「個人的には悔しいシーズンだが、誰かが離脱しても埋める選手が出てきた。チームの底力を示した」

 ○丸(広) チームリーダー。「去年以上に周りの期待があったなかで、一番いい結果を残せてホッとしている」

 ○今村(広) 救援の柱として大きく貢献。「ここを第一目標としてやってきた。自力で決められてよかった」

 ○新井(広) 球場には故障離脱中の鈴木と、胃がんから復帰を目指す赤松も来た。「本人たちが一番悔しいだろうけど、一緒に喜べたのが、うれしい」

 ○石井打撃コーチ(広) 「年間通して全員でカバーしあってくれた。選手がよう頑張りました。それだけです」

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 松田元オーナー(広) 「感謝の一言に尽きます。ファンの拍手と声援が選手たちを励まし、心に響き、高いモチベーションになりました。広島のこの球場の高い勝率がそれを証明してくれています。本当にありがとうございます」