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 マウスの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から卵子の元になる「卵母細胞」を作ることに、京都大の斎藤通紀教授(細胞生物学)らの研究グループが成功した。従来必要だった卵巣の細胞を使わずとも、2種類の物質を混ぜる簡便な手法で作製できた。ヒトのES細胞やiPS細胞から卵子を作る技術に応用できる可能性があるという。19日、国際科学誌に発表した。

 斎藤教授らのグループは、マウスのES細胞からまず生殖細胞の元になる細胞を作り、化合物などを組み合わせて卵母細胞を作ることができるかを調べた。その結果、骨の形成に関わるたんぱく質とビタミンAを加えれば、90%以上の細胞が卵母細胞に変化することが分かった。

 また、卵母細胞で卵子や精子に特徴的な「減数分裂」が起き始めることを、試験管内で初めて確認した。この細胞が卵子になりうることを示している。

 ヒトでも胎児から取り出した卵巣の細胞と一緒に生殖細胞の元になる細胞を培養する方法で作製が試みられているが、卵母細胞はできていない。ヒトの胎児の細胞の確保も難しい。この方法を使えば、胎児細胞を使わずに卵母細胞を作れる可能性があるという。斎藤教授は「生殖細胞での性の決定や卵子が形成される仕組みの解明をさらに進めたい」と話している。(西川迅)