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 2連覇を決めた広島カープ。今シーズンの打撃陣は主砲が抜けても、息切れするどころか加速した。15勝6敗。4番を任されていた鈴木が8月23日にケガで戦列を離れた後から、18日にリーグ連覇を決めるまでの戦績だ。石井打撃コーチは「(鈴木)誠也が抜けたのは痛いけど、代わりの選手がそれまで試合に出ていた経験が生きた」と語る。

 穴を埋めたのは、昨季まで規定打席に達したことのなかった10年目の2人だ。

 高卒の安部はレギュラーを奪った。これまで104試合に先発し、打率3割9厘と高打率を維持する。大卒の松山は9月の全14試合で4番に座り、その間、打率4割6分2厘、18打点、4本塁打と大暴れした。

 伏兵の活躍には伏線があった。今季、大きな補強がなかったからこそ、石井打撃コーチは「選手層の底上げを意図的にやってきた」と振り返る。昨秋のキャンプではドラフト上位で入団した伸び盛りの安部、堂林、野間を強化選手に指定した。広島は猛練習で知られるが、早出練習の早出となる「スーパー早出」を課して、バットを振り込ませた。

 緒方監督は開幕直後、「今季は2通りのオーダーを組めるようにしたい」と話した。一つのポジションに2人のレギュラー候補を育てるという意味だ。1~3番を昨季と同じく田中、菊池、丸と実績十分の3人で固め、4番に鈴木を抜擢(ばってき)した。一方で、5~8番は安部、西川、松山、バティスタらを相手投手との相性を考慮するなどして、日替わりで組み合わせた。

 若手にはチャンス、そして、ベテランには休養を与えた。昨季のリーグ最優秀選手で40歳の新井、そして今季27本塁打の37歳、エルドレッドは一塁で併用されたことで、シーズン終盤でも余力があった。

 新井は7月7日のヤクルト戦の九回に代打逆転3ランを放ち、存在感を示した。先発を奪うためには、若手もベテランも1打席たりとも無駄にはできない。代打の打率2割5分7厘は、セ6球団で1位を誇る。危機感が、下位でもつながる打線を生んだ。

 ※数字は20日時点。(吉田純哉)