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 「東芝メモリ」の売却先が20日、「日米韓連合」に決まった。東芝が売却方針を表明してから8カ月。迷走の末に、しびれを切らした取引銀行に期限を区切られ、「見切り発車」での決着となった。売却差し止めの訴訟を抱え、独占禁止法上の審査もこれからだ。

 「契約までは安心できない」。20日、買い手に決まった「日米韓連合」を主導する米投資ファンドのベインキャピタル関係者は気を引き締めた。これまで東芝は方針転換を重ねてきただけに、不安が残る。

 東芝が決断したのは、支援を受ける三井住友、みずほ、三井住友信託の主力3銀行に「20日決着」を約束していたからだ。3行などが設定した東芝の融資枠は今月末が期限。財務基盤の弱い東芝にとって、更新されなければ大きな痛手だ。

 今月上旬、主力行幹部から「月内の売却先決定が更新条件」とも迫られた。もともと銀行団から指定された「8月中の決定」は、すでに破っている。

 銀行は東芝メモリの売却益をあてにして東芝に融資している。売却が遅れ、来年3月末までに債務超過が解消されないと、各行の決算に響きかねないのだ。

 東芝が半導体メモリー事業の売却方針を表明したのは今年1月。6月に「日米韓連合」を優先交渉先に選んだが、8月に一転して米半導体大手ウエスタンデジタル(WD)が加わる「新日米連合」と売却で大筋合意。ところが結局、「日米韓」に戻った。

 東芝と協業するWDは、国際仲裁裁判所に東芝メモリの売却差し止めを申し立てている。銀行団が東芝に推してきたのは実は、WDの新日米連合だった。WDが提訴を取り下げ、買収が白紙になるリスクがなくなるためだ。

 だが、WDは大筋合意後に、東芝メモリの経営に強くかかわることを示唆。主力のHDD(ハードディスク駆動装置)に代わるメモリー事業が経営を左右するからだ。これに東芝が猛反発。交渉が行き詰まった。

 19日朝、その新日米連合から修正案が東芝に届いた。買い手からWDが外れ、経営にも関与しない大幅な譲歩だった。主導したのは政府系ファンドの産業革新機構だ。ただ、東芝も買い手を外れ、売却後の経営に関与できなくなる。

 東芝は世界に先駆けてNAND(ナンド)型フラッシュメモリーを発明した。思い入れは強い。交渉で募った不信感もぬぐえず、「言ったことと、契約書案に書いてあることがいつも違う」「訴訟で脅してくる」。19日深夜まで検討したが、譲歩案の採用は見送られた。

 機構幹部は嘆く。「ビジネスと感情は切り離すべきなのに、東芝は持ち込んでしまった」

 東芝の「迷走」の裏で動いたのは経済産業省だ。「安全保障面でも半導体技術は重要。海外流出は避けなければならない」(幹部)との考えからだ。国内雇用の維持や日本主導の半導体経営にこだわった。

 東芝が米半導体大手のブロードコムへの売却をめざしていると伝わった6月、傘下の革新機構を核に「日米韓連合」をつくって買い手として立候補させた。ブロードコムは「主導権を握れなくなった」(関係者)として撤退した。

 日米韓連合が、WDとの係争リスクを抱えて交渉が頓挫すると、WDをとりこんだ新日米連合づくりへと動いた。

 ちょうど7月の人事異動の時期と重なり、新たに就任した寺沢達也・商務情報政策局長が、得意の英語でWDのスティーブ・ミリガンCEO(最高経営責任者)とじかに渡り合ったとされる。東芝幹部も「国産の半導体を守りたいという問題意識は同じだ」と経産省に寄り添った。

 だが、別の東芝幹部は「台湾の…

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