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 安倍晋三首相は25日に首相官邸で記者会見し、28日に召集する臨時国会の冒頭で衆院を解散する意向を表明する方針を固めた。国会での所信表明演説は行わず、衆院選は10月10日公示、22日投開票の日程となる方向だ。首相は会見で消費増税の使途変更と財政再建目標の先送りも表明する見通し。野党が憲法に基づいて要求した国会の冒頭で解散に踏み切ることの是非も問われることになる。

 首相は25日、経済財政諮問会議に出席する予定。2019年10月に消費税率を8%から10%に予定通り引き上げたうえで、増収分の使い道を変更し、借金返済分を減らして教育無償化などの財源に回す考えを示す。「基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)」を20年度に黒字化するとした政府の財政再建目標は先送りする。

 PBの黒字化は、社会保障などの政策経費を借金に頼らずに賄えることを示し、20年度の黒字化は事実上の国際公約だった。首相は達成時期を先送りすることを表明するが、「経済再生と財政再建を両立する」としてきた安倍政権の経済財政運営の行き詰まりを認めることになる。

 訪米中の首相は20日、ニューヨーク証券取引所での演説で、幼児教育の無償化や低所得世帯の子どもを対象にした高等教育無償化の実現を表明し、「大きな財源が必要になるが逃げずに答えを出す」と訴えた。

 また、憲法改正について自民党は20日、安倍首相が打ち出した9条への自衛隊明記と教育無償化に、緊急事態条項と参院選挙区の「合区」解消を加えた4項目について、衆院選公約に盛り込む作業に入る方針を確認した。選挙戦では、財政再建とともに、改憲も大きな焦点となる。

 政府・与党は、28日の衆院本会議で、各議員の席を決める「議席の指定」だけを行い、大島理森衆院議長がただちに解散詔書を読み上げる方向で調整。天皇陛下が出席する開会式、与野党で合意していた北朝鮮に対する非難決議、安倍首相の所信表明演説はいずれも見送られることになり、野党は激しく反発している。