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 メキシコを19日昼、マグニチュード(M)7・1の地震が再び襲った。この日は、同じく首都を襲って1万人以上の死者を出した大地震からちょうど32年の節目の日。大規模な避難訓練が終わった後、本物の地震でビルが崩壊し、学校にも深刻な被害をもたらした。

 AP通信や英BBCによると、ペニャニエト大統領は現地時間の19日夜、首都メキシコ市南部コアパ地区の小学校が倒壊した現場を訪れ、がれきの下から子ども20人を含む22人の遺体が見つかったと明らかにした。地元テレビによると同日夜現在、この現場ではさらに30人の子どもと8人の大人が行方不明になっており、救急隊ががれきの中から聞こえる声を頼りに捜索を続けているという。

 死者はメキシコ市で90人以上、近接するモレロス州で70人以上、プエブラ州で40人以上に上る。

 メキシコ市のマンセラ市長は地元テレビに、市内44カ所でスーパーマーケットや工場を含む建物が倒壊するか、深刻な損壊を受けていると話した。同市では約200万人が停電に見舞われ、ガス漏れも発生。倒壊した建物のそばにいた男性(33)は、BBCの取材に「妻がそこにいる。返事がない」と語った。

 在メキシコ日本大使館によると、20日午前時点で日本人の被害は報告されていないが、日本企業の工場の一部に被害が出たとの情報があるという。

 メキシコでは1985年の9月19日、1万人以上が死亡する大地震が起きた。この日、メキシコ市内では、その発生日に合わせた避難訓練が行われていた。

 朝日新聞の電話取材に応じた公務員のヘラルド・エルナンデスさん(52)は、地震発生の約2時間前、職場の建物から大通りに出る避難訓練をしたばかりだった。発生後、訓練と同じ道を通って避難した。「みな怖がって叫んでいた」

 市中心部の世界貿易センタービル近くに住む日本人女性(62)は、経験したことのない激しい横揺れにトイレに駆け込んだ。「もうダメだと思った」。揺れは1分ほど続いたと感じ、棚の本や、置いてあった植木鉢が倒れるなどした。「被害の大きい地域で連絡の取れない友人がいるので心配です」

 市内で洋菓子店を営む日置麻倫子さん(39)は、接客中、足元が持ち上げられるような大きな揺れを感じた。自宅近くの幼稚園も倒壊。がれきの下敷きになった子どもがいるという。

 倒壊した医療施設で救助活動をしていた救援隊のウリセス・レジェスさんは「救助を手伝おうと、多くの人が集まっているが救援器具が足りずに救出できない」と話した。(田村剛=メキシコ市、平山亜理、太田泉生