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 東京電力福島第一原発事故で福島県内の森林内部にたまった放射性セシウムの大半が現在、地面表層にとどまっていることを、森林総合研究所(茨城県つくば市)が事故後5年間の追跡調査で明らかにした。事故直後は樹木や落ち葉に大半があったが、落葉や雨で表層土に移ったとみられる。

 同研究所は林野庁の委託を受け、事故が起きた2011年から毎年、福島第一原発から約26キロ離れた福島県川内村の国有林などに調査地点を設け、放射性物質セシウム137の蓄積量を調べてきた。樹木と落葉層、深さ5センチまでの表層土、5~20センチまでの土層ごとに測定し、樹木は葉と枝、樹皮、幹別の測定値から算出した。

 川内村のスギ林で、11年には全蓄積量の44%が樹木に、31%が落葉層にあった。しかし翌12年にはそれぞれ14%、15%に減り、15年には4%と8%に急減した。逆に深さ5センチまでの表層土は11年が23%だったが、12年には62%、15年には76%と大半になった。5~20センチまでの土層は11年が2%で、12年に9%、15年に12%と微増だった。

 同研究所震災復興・放射性物質研究拠点の金子真司拠点長は「ここ数年、放射性セシウムは深さ5センチまでの表層土に大半がとどまっている。今のところ樹木が根から盛んに吸収しているようには見えない」と話している。(三嶋伸一)