[PR]

 栃木県那須町で3月27日、登山講習中の高校生ら8人が亡くなった雪崩事故は、まもなく発生から半年を迎える。犠牲者らとともに生き埋めになり、救出された県立大田原高校の男子生徒(2年)が手記を寄せた。全文は次の通り。

     ◇

メディアの皆様

 メディアの皆様にはあの日以来、事故の真相究明に向けた報道をしていただきありがとうございます。また沢山(たくさん)の取材の申し込みを受けながら自分の精神状態を理由にお断りをし続けて申し訳ありません。まだあの日の事を思い出すと、痙攣(けいれん)等の症状が出ることがあり、手記という形での対応をお許しください。

 あの日からもうすぐ半年を迎えようとしています。この半年であの日の事を忘れた日はありません。一生忘れることはないでしょう。

 しかし半年という区切りを迎え改めて今思う事は、自分は毎日思い出す亡き友の事が、やはり世間的には毎日起こる事件や様々な情報の波にのまれ薄れていってしまっているということです。

 その事がとても悲しくやりきれない思いです。遺族や被害者とは違い当事者でなければ仕方がないことは理解しています。しかし8人もの命が奪われた事故をこのまま風化させてはいけないと思います。風化させずに語り継いで行く事が、再発防止の第一歩にもなるのではないでしょうか。

 今日も昨日もみんなの事を思い出しています。テレビを見ても音楽を聴いても何をしても、「あいつこれが好きだったな」とかいつも考えてしまいます。みんなが好きだった物の向こうに楽しかった記憶が蘇(よみがえ)ります。みんなの笑顔と何も言えなくなったあの日の顔が交互に浮かんでは消えていきます。事故当初は、「なんで生き残ってしまったんだろう」「なんでみんな助けられなかったのだろう」いろんな、「なんで」ばかり考えていました。生きる事を諦めたくなる日もありました。でも親友に誓った、生きていく約束を思い出し毎日を過ごしています。今は普通に生活をする事が自分の精一杯です。

 だけどいつかまた会えた時、みんなに笑われない生き方をしようとも思っています。

 この事件が一日でも早く解決し、遺族の方が納得のいく結果が出ることを願っています。

 もしこの手記を目にする事があったらみんなのことを思い出してください。こんなに悲しいことがあった事を忘れないでください。どうしたら二度と同じ悲劇がおきないかどうか考えてみてください。