[PR]

 愛する息子を亡くしても気丈に振る舞う父、死んだときの様子を知りたいと願う母、弟を亡くした苦しみをぶつける兄、そして、死んでもなお帰りを待つ妻……。

 1945年の沖縄地上戦で戦死した兵士の遺族から、指揮官だった大隊長の伊東孝一さん(96)宛てに送られた356通の手紙。その文中には、残された者の思いが生々しくつづられている。

 戦後の混乱のなか、伊東さんが部下の死を一刻も早く家族に知らせようと、約500人の遺族に送った手紙に、返信として届いたものだ。昨年3月、沖縄で遺骨収集・遺留品返還活動を続けるグループ「みらいを紡ぐボランティア」が伊東さんから手紙を託され、今年5月から遺族への返還を始めた。これまでに11通を届け、さらに8通を11月に返す予定だ。これからも遺族を探し、活動を続けるという。

 母親が伊東さん宛てに書いた手紙を受け取った長野県松川町の倉田紀(おさむ)さん(77)は、「私が4歳のときに出征した父を、ずっとどういう人物だったか想像してきた。手紙を受け取って、父をより身近に、誇りに感じるようになった」と語った。(写真・文 金川雄策)