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 千葉市で開催されたゲーム見本市「東京ゲームショウ」では、においや触感などを再現する技術が注目された。これまでの視覚や聴覚に加えることで、よりリアルな仮想現実(VR)体験が可能になるためだ。ゲーム以外の分野へも活用が広がりそうだ。

 会場で目を引いたのが、ITベンチャーのヴァクソー(米国)が手がけるにおいのVR機器。ラーメン店主を体験できるゲームでは、場面に合わせてラーメンやギョーザのにおいが漂う。恋人と自然の中を旅するゲームでは、草原や海辺のにおいがほのかに香る。

 市販されているゴーグル型のVR端末に、同社の機器を取りつけて使う。機器には小さな穴があり、におい付きの液体が噴射されるしくみだ。ヴァクソーの川口健太郎社長は「人間は鼻から多くの情報を得ている。においで現実感はぐっと増す」。2018年春ごろの発売予定だが、化粧品の販促用でも依頼がある。

 東京ゲームショウのVRコーナーは昨年新設されたが、今年は面積を約1・4倍に拡大。出展は3割増の45社にのぼり、ゲーム以外の関係者も関心を寄せる。

 韓国の企業テグウェイは、映像とともに手のひらに熱さや冷たさが伝わるコントローラーを開発した。熱を伝える独自開発の部品を貼り付け、瞬時に5~40度の変化を体感できる。思わず手を離してしまうほどのリアルさで、テーマパークや消防士の教育などでの活用が期待されている。

 東北学院大学などは、ナマコの触感を再現するシステムを展示。小型のロボットアームが持っている木の棒を動かすと、ナマコの弾力が伝わってくる。同様のシステムはすでに外科手術の練習や製造業などに活用されている。開発した佐瀬一弥助教は「既存の技術でも組み合わせしだいでは、社会にとって価値のあるものが提供できる」と話す。(新田哲史)