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 担当記者として、早稲田実高の野球部OBとして清宮幸太郎を高校1年から見てきて、「言葉にする力」を常に考えさせられた。

 入学当初、「80本ぐらい打ちたい」と言った。「1試合1本は打ちたいですね。ヒット? 1年生で出る意味がないじゃないですか。ホームランですよ」と話したこともある。結果、過去最多とされる111本塁打を記録した。

 清宮の話す声はいつも大きい。それはヤマハ発動機ラグビー部監督で、父の克幸さんの教えだ。取材を受けるときは、目をそらすな、もじもじするな、自分の言葉で話せ、と言われてきたという。「言葉と声で引っ張る父はかっこいいなあと思う」と憧れの存在だ。

 1年冬ごろから顔や体つきが締まってきた。2年秋、主将になってチームを思う言葉が増えた。かけ声にしやすいこともあって、スローガンは「GO!GO!GO!」。最後の夏は選手宣誓で「野球を愛しています」と言い切った。

 気持ちを素直に表現しながら、的確な言葉を選択してきた。プロ志望を明かした席で、王さんが持つプロ野球記録の868本塁打を目標に立てた。「抜かさないといけない使命感。やるからには王さんのような野球人になりたい」。口にするのもはばかられそうな途方もない数字。だからこそ清宮の覚悟が伝わってきた。(坂名信行)