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 スウェーデン王立科学アカデミーは3日、今年のノーベル物理学賞を「重力波」の初観測に貢献した米国の3氏に贈ると発表した。重力波は、ブラックホールなどの非常に重い天体が運動する際に時間や空間が伸び縮みする「時空のひずみ」が、波紋のように宇宙空間に広がっていく現象。アインシュタインが1916年に予言したが、ひずみは極めて小さく観測は困難で、「最後の宿題」とも言われていた。

 受賞するのは米マサチューセッツ工科大名誉教授のレイナー・ワイス(85)と、米カリフォルニア工科大名誉教授のバリー・バリッシュ(81)、同大名誉教授のキップ・ソーン(77)の3氏。

 17世紀にガリレオが基礎を築いた現代の天文学は、光や電波などの電磁波をとらえる。一方、光を吸い込むブラックホールなどは直接観測できなかった。重力波を使えばこうした天体のほか、誕生直後の宇宙の姿も観測できると期待される。重力波の観測成功により、「重力波天文学」という新たな学問分野の扉が開かれた。

 ワイス氏とソーン氏は1980年ごろ、レーザーと反射鏡を用いた干渉計という手法を使って重力波を観測する装置の建設計画を立ち上げた。バリッシュ氏は計画を大規模な国際研究プロジェクトに発展させ、長さ4キロの観測装置「レーザー干渉計重力波天文台(LIGO〈ライゴ〉)」が米国内の2カ所に完成。2015年9月、地球から13億光年ほど離れた二つのブラックホールが合体した時に出たとみられる重力波を観測した。

 授賞式は12月10日にストックホルムである。賞金は900万スウェーデンクローナ(約1億2400万円)。3人で分ける。

 重力波を観測する大型の干渉計は米国のほか、欧州の「Virgo(バーゴ)」がある。今年8月にはLIGOに加えてVirgoでも同時に重力波が観測された。日本の東京大宇宙線研究所などが運営する「KAGRA(かぐら)」(岐阜・神岡鉱山)は19年4月以降の本格観測をめざしている。

 《レイナー・ワイス氏》 1932年、ドイツ生まれ。62年、マサチューセッツ工科大で博士号。同大名誉教授。

 《バリー・バリッシュ氏》 1936年、米国生まれ。62年、カリフォルニア大で博士号。カリフォルニア工科大名誉教授。

 《キップ・ソーン氏》 1940年、米国生まれ。65年、プリンストン大で博士号取得。カリフォルニア工科大名誉教授。