[PR]

 安倍晋三首相が25日、衆院の解散・総選挙を表明した。2012年12月の政権発足から約5年。日本銀行の異次元緩和を柱とした「アベノミクス」で円安・株高となった。海外経済の好調もあり、大企業を中心に利益は増え、雇用も改善した。しかし賃金は伸び悩み、節約志向から企業の価格競争は続く。物価上昇率は目標の「2%」から遠い。

 政権発足後、国内総生産(GDP)の実質成長率は13年に上向き、消費増税で大きく落ち込んだ後、再び上向いた。日銀の大規模緩和による円安で輸出企業を中心に企業収益が一気に伸び、堅調な海外経済も後押しして、最近は6四半期(1年半)連続でプラス成長が続く。茂木敏充経済再生相は25日の記者会見で、12年12月からの景気拡大は、「戦後2位の『いざなぎ景気』(4年9カ月)を超える長さとなった可能性が高い」と述べた。

 だが景気に力強さはまだない。円安による輸出採算の改善や海外経済に引っ張られた外需主導の景気回復が続くが、国内での賃金上昇、消費改善の好循環につながっていないからだ。

 雇用指標は大きく改善した。7月の有効求人倍率は1・52倍と43年ぶりの高水準。人手不足で新卒学生の就職は「売り手市場」だ。

 一方、賃金の伸びは鈍い。春闘交渉では、政権の経済界への働きかけもあり4年連続のベースアップが実現したが、今年は過去4年で最も小さい上げ幅だった。実質賃金指数は低水準が続く。14年の消費増税や、社会保障費の負担増を賃上げでカバーできず、家庭は財布のひもを締める。

 「節約志向」を受け、大手スーパーなどでは最近、値下げの動きが続く。日銀は「景気は拡大している」とするが、強気な黒田東彦(はるひこ)総裁も「賃金、物価が上がりにくいことを前提にした考え方が企業や家計に根強く残っている」と認めざるを得ない状況だ。

■円安加速後、海外…

有料会員に登録すると全ての記事が読み放題です。

初月無料につき月初のお申し込みがお得

980円で月300本まで読めるシンプルコースはこちら