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 原爆の被害を伝える写真やパネルを海外で展示する「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」が25日、ベトナムの首都ハノイで開幕した。ベトナム戦争の戦禍から立ち上がった同国の学生たちに、長崎市の被爆者、森田博満さん(83)が体験談を話し、平和を訴えた。

 原爆展は国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館が主催。2005年に米シカゴで初めて開催され、これまで11カ国・18都市で開かれてきた。アジアでの開催は09年のマレーシア以来2カ国目。

 会場の国立大学では、森田さんが約70人の学生に体験を語った。原爆が投下されたのは10歳のとき。爆心地から1・8キロ離れた自宅の玄関に入った瞬間、オレンジ色の光と爆風で6メートルほど吹き飛ばされた。カボチャの配給を知らせに来てくれた友人の一人は、爆風で地面に体をたたきつけられて即死した。

 「そのときにいた場所で生死が分かれた。一歩遅れたら私も命がなかった」。森田さんはベトナム語の説明をつけた絵を示しながら話し、あやまちを繰り返さないでと訴えた。27日にはハノイ日本人学校でも体験談を話す。

 ベトナム戦争終結から42年がたち、現地では戦争を知らない若者が増えている。同大学の元歴史学部長ブー・ズオン・ニンさん(80)は、「枯れ葉剤やナパーム弾の被害を受けたベトナムは広島、長崎の人たちにとても共感している。アジアで戦争をなくすため団結し、若者に平和な世界をつくる役割を担ってほしい」と話した。展示は11月5日まで。(ハノイ=鈴木暁子)