【動画】新聞紙面や気になるニュースについて語る藤井聡太四段=瀬戸口翼撮影
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■新聞週間2017

 今年6月、将棋界で新記録となるデビューからの公式戦29連勝を成し遂げた15歳の中学生棋士、藤井聡太四段。学校から帰宅後、新聞を開く。1面から社会面へ移り、さらに将棋欄などへ数十分かけて読み進める。わからない言葉はネットで調べる。

 テレビはあまり見ず、ニュースに接するのは、ほとんど新聞だ。「活字に落とし込むからこそ、伝わりやすいことがあると思う。見出しやレイアウトも、紙ならではの面白みがある」という。

 朝日新聞で、オピニオン面を通じて社会の問題を考え、自分なりの考えを持つこともある。若い世代の立場から、社会保障のあり方を考える連載も読んだ。「財源があれば、ベーシックインカム(政府が生活に最低限必要なお金を全国民に支給する仕組み)を考えてもいいのかなと思う」

 物事を多面的に考えるようになったのは、新聞を読んできたからこそだと考えている。「オピニオン面は最近気になったニュースについて新しい考え方を提示してくれる記事がある」

 以前から楽しみにしているのは特派員がつづる国際面の「特派員メモ」などのコラムだ。「ふだん目にするニュースとは違うというか、視点を変えて、海外を多面的に知ることができて面白い」という。

 今年、将棋の名人を破るまでに強くなった人工知能(AI)の記事もよく読んだ。AIが棋士と戦う「電王戦」がきっかけとなり、興味を持ったからだ。一方で、その進歩に伴ってなくなると言われる職業があることも知った。「これまでは将棋の強さが棋士の存在価値だったが、これからは別の価値を考えなければ」。将棋界への影響を肌で感じている。

 最近、気になるニュースとして挙げたのは、北朝鮮情勢。記事を読んで「国連の安全保障理事会の中でも各国の足並みがそろっていない。対応が難しいんだな」と感じた。卓球の世界選手権で史上最年少で8強入りした14歳の張本智和選手ら、活躍する同世代の記事には自然と目がいく。「刺激になる。自分も頑張らないと、と思う」

 自分の活躍を伝える記事が、毎日のように新聞の紙面を飾った。同級生から「載ってたね」と言われることも。ただ、新聞は毎日読むものの、自分の記事はあまり目を通さない。「恥ずかしいので、読むのは勇気がいりますね」

 取材を受ける立場になって、気づいたことがある。「新聞には毎日たくさんの記事が載っている。自分の時も、色々な質問があり、対局の内容もそれ以外についても綿密に取材していただいている。記事の裏には、膨大な取材の積み重ねがあると実感した」

 勝敗だけでなく、新聞を通じて将棋の面白さを伝えていく――。棋士として、その役割も担いたいと考えている。(村瀬信也

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