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 8月、フィリピン・バンタヤン島を訪れた。2013年11月にフィリピン全土を襲った台風ヨランダの被害を受けた漁村住民に会うためだ。初めて訪れた14年から3年。漁村の状況は良くなったのか。

 答えはノーである。損壊した住宅や漁船の補修は進み、以前の生活が取り戻されたかのように見える。しかし、政府からの義援金では補塡(ほてん)しきれず、借金で急場をしのいだに過ぎない。男たちは連日、漁に繰り出すものの、温暖化やダイナマイト漁、大型漁船による操業の影響から、目を覆いたくなるような漁獲高が続くときさえある。

 筆者らは今回、地域の資源(リソース)を書き込んだ地図を作るワークショップを実施した。うだるような暑さと湿度の中、屋根があるだけの屋外集会場で、午前8時半から午後4時近くまで議論を続けた。驚いたのは参加者の数だ。2日間で60人あまり。参加者の数が、住民の必死さを表している。

 住民から意見が出ず、こちらがリードすることになるのではないか。始まる前はそんな不安もあったが、杞憂(きゆう)だった。減ってしまった漁業収入を補えるような、マット作りやヤギの飼育のノウハウを持つ人的資源。まき用の木や豚、マンゴーなどの自然の資源。コミュニティーハウスなど社会的な資源――。

 一見すると台風で何もかも失っ…

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