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(29日、オリックス4―0ロッテ)

 プロ野球10万号アーチの栄誉は、オリックスのマレーロが手にした。その1本前の本塁打を放ったのが、オリックスの同僚のT―岡田だ。2人の命運を左右したのは「幻の一発」だった。

 T―岡田はロッテ戦の五回に右翼席へ放り込み、これが9万9999号になった。ベンチに戻ると、マレーロがこう声を掛けた。「俺がベースを踏み忘れなかったら、今のが10万号だったのにな」

 今季途中加入のマレーロは、初出場となった6月9日の中日戦で打球をスタンドに運びながら、ホームを踏み忘れてアウトになった。この1本がカウントされていれば、T―岡田が賞金100万円を得ていたはずだ。

 そのマレーロが六回、左翼席中段へ豪快に突き刺した。低い弾道ながら文句なしの当たりだった。「どこかに(10万号を狙う)気持ちがあったかもしれない」。来日1号をフイにして以来、本塁は両足で踏むように気をつけている。この日もそうだった。

 ベンチに戻ると、T―岡田が抱きついてきた。そして言った。「(賞金)半分、くれるんだろ」

 試合後、その件について問われたマレーロは「たぶん、半分は渡さないと思うよ」と笑った。長いプロ野球の歴史に名を刻んだことに、喜びよりも不思議な巡り合わせを感じていた。「ベースを踏み忘れたからファンに名前を覚えてもらえたし、それもあって10万号になった。自分に回ってくる理由があったのかもしれない」と、しみじみと話した。(伊藤雅哉)

 ○T―岡田(オ) 7年ぶりの30号到達については「今年はキャリアハイ(33本)を目指しているので、まだまだ。できるだけ打ちたい」。

 ○福良監督(オ) 4位が確定。「吉田一はボールに力があり、先発として来季につなげてくれたら」