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 国内で子どもの心臓移植がなかなか実現しない中で、募金で海外での移植を目指す親たちがいる。移植にかかる費用は医療機器の高度化を背景に高騰しており、2016年以降の1人あたりの募金の目標額は平均3億円近くと、この5年で倍増した。国内の小児移植医療の体制づくりが改めて問われている。

 臓器移植法改正で、国内で15歳未満の子どもの臓器提供が可能になった10年7月以降、海外で移植を受けた子どもの状況が、日本小児循環器学会や移植支援団体トリオ・ジャパンへの取材で分かった。

 米国など海外で移植を受けた18歳未満の子どもは35人。うち、自費で渡航した3人を除き、「救う会」などを立ち上げて募金活動した32人の10~14年の目標額は平均約1億5千万円だったが、16年は約2億9千万円、17年(渡航・移植予定者を含む)は約2億8千万円に達した。最高額は16~17年の4ケースで3億2千万円。海外移植の件数は法改正の前後で大きく変わらない。

 支援団体によると、すべてのケースで目標の募金額が集まったという。不正防止のため、募金を始める際は海外の病院への前払い金の請求書を確認し、記者会見には医師の同席を求めているという。多くの「救う会」が会計報告書を公表し、残金がある場合は別の救う会などに寄付している。

 ただ、合併症などへの対応で追加の医療費がかかり、募金額では足りなくなったケースもある。

 費用高騰の背景には、15年6月に小児用補助人工心臓が国内で初めて認可されたことがある。認可前は大人用しかなく、拡張型心筋症のように移植を必要とする重い心臓病の子どもの多くが、移植が実現する前に亡くなっていた。

 補助人工心臓の装着は移植までの延命が目的。根本的な治療ではないものの、より多くの子どもが海外渡航に耐えられるようになり、助かるチャンスは広がった。その一方、装着後はきめ細かいケアを要するため、高額な集中治療室(ICU)への入院や、1往復で数千万円かかる医療用チャーター機の手配が必要となり、移植費用を押し上げている。

 国内で移植できれば患者の自己…

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