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 ナチスの戦争犯罪を追及したドイツの法律家が今年、映画や書籍で取り上げられ、話題になっている。ホロコースト(ユダヤ人虐殺)があった強制収容所の幹部らに対する裁判を主導した西ドイツヘッセン州の検事長、フリッツ・バウアー(1903~68)だ。

 ユダヤ系の家庭に生まれた。ナチスの迫害を受けて海外に逃れ、戦後に帰国。強制収容所での残虐行為をドイツ国民として裁いた「アウシュビッツ裁判」(63~65年)を牽引(けんいん)したが、裁判後に「過去の克服に対する嫌悪感が広がっている」と友人宛ての手紙に記したように、死後はあまり注目されなかった。

 ところが今年に入り、バウアーの実話をもとにしたドイツ映画「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」が日本でも公開された。バウアーはユダヤ人を強制収容所に送る責任者だったアドルフ・アイヒマンの潜伏情報を調べ、妨害を受けながらも身柄拘束に貢献。アイヒマンはイスラエルで裁判にかけられ、死刑となった――。そんな足跡を描いた。

 さらに今夏、評伝(2013年)の翻訳「フリッツ・バウアー アイヒマンを追いつめた検事長」が刊行された。バウアーが再び脚光を浴びている背景には、極右勢力伸長に対するドイツ国内の反動があるとみられる。

 評伝を翻訳した立命館大学の本…

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