[PR]

 衆院総選挙が10日公示される。安倍晋三首相による唐突な解散に正当性はあるのか。結果次第で大政翼賛的な政治が生まれる危険性をもはらむ総選挙に主権者はどう向き合うべきか。長谷部恭男・早稲田大教授(憲法)と杉田敦・法政大教授(政治理論)に語り合ってもらった。

 杉田敦・法政大教授 今回の解散に正当性があるのか、まずは考えてみましょう。憲法53条には、内閣は一定数の国会議員の要求があれば臨時国会を開かなければならないとある。にもかかわらず、安倍内閣は3カ月も放置しました。

 長谷部恭男・早稲田大教授 53条の規定が設けられた趣旨については、現憲法草案が議論された第90回帝国議会で金森徳次郎国務大臣が説明しています。当時は国会常設制、つまり、内閣に召集されなくても、国会自身がいつ活動を開始していつ終わるのか決められるようにすべきだという意見が有力でした。これに対し金森は、常設制は現実的ではないので、代替手段として、一定数の国会議員の要求があれば国会を召集しなければならないことにしたと言っている。召集要求を無視する内閣が出てくることは想定していなかっただろうと思います。

 杉田 憲法施行後に出された政府見解は、53条に基づく要求があったとしても、内閣は諸般の条件を勘案して、合理的に判断して召集の時期を決めることができるとしています。では今回のような、森友、加計学園をめぐる疑惑を追及されたくないというのは、勘案してしかるべき「諸般の条件」に含まれるのか。

 長谷部 常識で考えれば、含まれません。

 杉田 国権の最高機関である国会の審議機能を実際上、行政の長が妨害した。憲法違反ではないですか。

 長谷部 53条との関係で言えば、合理的と考えられる時期、準備に必要な2、3週間を超えて召集を引き延ばすのは憲法違反だというのが学界の通説です。

 杉田 そしてようやく国会を開いたら、何の審議もせずに冒頭解散です。解散権は首相の「専権事項」と言う人もいますが、憲法にそんな規定はありませんね。

 長谷部 首相の専権事項というのは間違いです。政府の有権解釈でも、実質的な解散決定権は内閣にあると言っている。現実には、首相は解散に反対する閣僚がいれば罷免(ひめん)して解散を決めることはできるので、首相に主導権があるとは言えますが、専権ではない。首相が自由に議会を解散できるという主張が臆面もなくなされる日本は、主要先進国の中では例外的な存在となりつつあります。

 杉田 かつて日本は、首相の権…

有料会員に登録すると全ての記事が読み放題です。

初月無料につき月初のお申し込みがお得

980円で月300本まで読めるシンプルコースはこちら

こんなニュースも