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 2020年東京五輪・パラリンピックが社会に残せる最大のレガシー(遺産)は、「国民の健康」であると主張する鈴木大地スポーツ庁長官。日ごろ体を動かす習慣のない20~40代に対し、「(医療費増大の観点などから)次世代に負担や迷惑をかけない生き方を」と覚悟を求めた。

 2015年10月に発足したスポーツ庁の初代長官として1期目の2年を務めた鈴木氏は、10月1日付で、文部科学省から続投の辞令を受けた。東京五輪・パラリンピックをにらみ、2期目の任期は20年秋までの3年間となった。

 2期目の抱負を述べた2日の記者会見で、鈴木長官は「20年大会が残せるレガシーは国民の健康。誰もが気軽にスポーツに親しみ、健康で生きがいのある生活を送れる社会の実現こそが、スポーツ庁が取り組むべき課題だ」などと力説した。そして来年3月から、スニーカーや歩きやすい格好で通勤することで一人一人が1日8千歩を目標に歩くことを推奨する「FUN+WALK PROJECT」を始めるとした。自身は「朝、時間に余裕があるときは歩いたり走ったり。そうした日はだいたい1万歩ぐらいですね」。

 日本の成人の週1回以上のスポーツ実施率は現在、42・5%。スポーツ庁はこれを65%まで引き上げることを目標に掲げる。健康への意識が高まる50代以降の実施率は高いが、20~40代の働く世代はいずれも30%台前半と低迷している。そして、年間の国民医療費は40兆円を超える。

 鈴木長官は「非常に言いづらいことかもしれませんが」と断ったうえで、「運動を定期的に行っている方々と、何もせずに飲み放題食べ放題、いわゆる体に良くない生活習慣をされている方々の生命保険料の差がつくとか、今後そういう時代になる可能性もある。出来れば世の中や次世代に対して負担をかけないライフスタイルを推奨していくことが非常に重要」「20~40代の中には育児で忙しい方もいらっしゃいますが、お子さんやお孫さんの世代に対して迷惑をかけないような社会(にしていきたい)」などと話した。

 自身は1988年ソウル五輪競泳男子100メートル背泳ぎの金メダリストでもある鈴木長官だが、「スポーツ政策の本丸は国民の健康。これまで長官職を続けてきて、そのような考えに至った」。質疑を含めて約40分間に及んだ記者会見の大半を、五輪などの国際大会における日本の成績向上よりも、国民の健康増進に関するテーマに費やした。(平井隆介