【動画】幸せの国・ブータンでマツタケに出会った=相場郁朗、斎藤健一郎撮影
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 幸せの国ブータンの山中で繰り広げられる手に汗握る取引。それが日本に輸出されるマツタケの売買でした。

 エキスがしたたるほど新鮮なマツタケがあふれ、むせるような香気に包まれた村は、崖っぷちの未舗装路の急斜面を進んだ、山のまた先の先にありました。

 標高3千メートルのマツタケ山から報告します。

     ◇

 その山にはマツタケがニョキニョキと生え、香気でむせかえっているらしい。しかも山盛り1杯数百円で取引されている――。ヒマラヤの小国ブータンに、そんなおとぎ話のような村があると聞いた。

 ならば行くしかないだろう。幸せの国に飛び、桃源郷を探す旅が始まった。

 首都ティンプーから約50分、車は幹線道路をそれた。未舗装の山道は、ブータン一のマツタケ産地といわれる村に通じているはずだ。

 想像を上回る勾配だった。フロントガラス一面に群青の空がうつり、四輪駆動車のタイヤがズズッとすべる。幾重にも連なる山の奥深くへ。

 激しく体を揺さぶられながら約40分、首都から約600メートル高度を上げ、標高はすでに2900メートル。頭がボーッとしてきたところで視界が開けた。青々とした山の斜面に家が点在している。ゲネカ村だ。

 道ばたのテントに人だかりがあった。性別も年のころもさまざま、15人ほどがいる。かたわらのトラックに「ブータンマツタケ」とカタカナで書いてある。地元バイヤーの車だった。日本から足かけ3日、ようやくマツタケが取引される現場に着いたのだ。

 腰をかがめてテントに入ると「あぁ!」と自分でも驚くほどの声が出た。刺激が強すぎたのだ。おびただしいマツタケが積み上げられ、かけらでさえ香りを放つマツタケが数十キロの塊となって濃く強く、秋の山の匂いを発している。1本手に取ると、今にもエキスがしたたるのではと思うほど、みずみずしい。

 冷静さを取り戻すのに5分はか…

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