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 マレーシアで2月に殺害された金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏は生前、韓国政府に金銭の困窮や身辺の不安を訴えていた。韓国政府が2016年初めから正恩氏の追い落としを図ったことが、殺害につながったとの見方もある。北朝鮮の「ロイヤルファミリー」から転落した正男氏の数奇な人生を、関係者の証言でたどった。(ソウル=牧野愛博)

「皇太子」一転、追われる身に

 正男氏は1971年、金正日(キムジョンイル)総書記と成恵琳(ソンヘリム)夫人の長男として生まれた。

 金総書記には当時、金英淑(キムヨンスク)氏という別の夫人がいた。父の金日成(キムイルソン)国家主席に対し、成夫人と正男氏の存在を隠していたが、正男氏1歳の誕生行事に金主席を招待。金主席が喜ぶ姿をみて、北朝鮮当局者らは正男氏の「皇太子」としての地位を確認した。

 84年には高英姫(コヨンヒ)夫人との間に正恩氏が生まれた。ただ、高夫人と正恩氏は、日本海に面した元山(ウォンサン)の別荘で暮らし、金主席は存在を知らなかったという。韓国の崔鎮旭(チェジンウク)・前統一研究院長(立命館大国際地域研究所客員研究員)は「正男氏の方が、正恩氏を圧倒していた」と語る。

 だが、正男氏の運命は徐々に暗転する。成夫人の姉の子、李韓永(イハニョン)氏が82年、韓国に亡命。後に金総書記らの暴露本を出すなどし、97年に暗殺された。成夫人の姉も96年、米国に亡命。成夫人も体を壊し、モスクワで暮らすようになっていた。

 正男氏は当時、金総書記の妹、金敬姫(キムギョンヒ)元党書記と張成沢(チャンソンテク)元国防副委員長夫妻の保護を受けて一緒に暮らしていたが、立場の悪化は明らかだった。

一晩で10万ドル浪費

 昨夏、韓国に亡命したテ・ヨンホ元駐英公使はテレビ番組で、正男氏が90年代初めから毎晩、「216888」(2月16日は金総書記の誕生日)というナンバーのベンツで平壌の高麗ホテルに乗り付け、カラオケなどに興じていたと明らかにした。

 情報関係筋によれば、同じ頃、…

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