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 突然の解散・総選挙、めまぐるしい野党再編。10日に公示を控えた衆院選は、政党や立候補予定者だけでなく、選挙を支える人たちも大わらわだ。選挙道具を扱う業者は注文の変更に戸惑い、選挙管理委員会も準備期間の短さに焦りの色を隠せない。

 「公認がおりそうなので車を借りられないか」

 小池百合子・東京都知事の新党「希望の党」が1次公認を発表した3日午後、選挙カーレンタル会社「グリーンオート」(神奈川県大井町)にこうした電話が3件続いた。同党の公認が得られないとみてキャンセルする電話もあった。

 同社では、全国各地の立候補予定者や政党からの注文を受け、名前や顔写真が入った看板を選挙カーに設置する作業が急ピッチで進められている。だが、衆院選で使う28台のうち8台は政党名が空白だったり、いったん取り付けた看板を外したりするなどした状態。いずれも合流構想で揺れる希望の党と民進党の陣営が発注したものだ。

 同社の若狭侍郎さん(31)は「政党の公認が出るまでは看板のデザインが決まらない」と困惑気味だ。

 選挙ポスターを取り扱う都内の印刷会社にも影響が及ぶ。公認がずれ込んだからか、複数の取引先のデザイン会社から「(ポスターの)レイアウトが完成しないのでもう少し待ってほしい」などと伝えられた。印刷には通常4日程度かかるが、2日程度で仕上げるよう求められるケースもあるという。

 各地の選挙管理委員会も対応に追われる。東京都選管によると、立候補の届け出に必要な書類を確かめる「事前審査」は通常、公示1週間前には終わるが、今回は公示1週間前の3日に始まった。解散から公示まで2週間弱しかないためだ。担当者は「早めに審査を終えたいが、慌ただしい政治状況なのでずれ込みも覚悟している。(7日からの)3連休中も対応しないと公示が迫っている」と危機感を募らせる。衆院選の小選挙区と比例区、最高裁判事の国民審査の3種類ある投票用紙の印刷作業では、普段は複数の業者の入札にかけるところ、随意契約にして仕上がりまでの日数を短縮するという。

 東京都国立市選管は、選挙事務を補助する学生アルバイトを50人募集したが、37人しか確保できなかった。足りない分はシルバー人材センターに手配する。今回行われる区割り変更の有権者への周知にも労力がかかる。市選管の風見康裕事務局長は「短期間で同時並行で仕事を進めなければいけない。とにかくミスなくやりたい」と話す。(多田晃子、志村英司)