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 何千もの星が輝く夜空、クレーターがくっきりと見える迫力のある月。ツイッターにアップされる写真は、40万人を超えるフォロワーを宇宙の神秘の世界へといざなう――。そんな写真を撮るのは、宇宙と神話の世界を描くアーティストであり、美しい夜空の写真集も出版しているKAGAYAさん(49)。昨年の七夕にアップした天の川の投稿は、6万件超のリツイート、11・5万件の「いいね」を獲得するなど、話題となった。小学生の頃から月や夜空に魅せられ続けているというKAGAYAさんに、印象に残っている夜空の写真や、星空への思いを聞いた。(聞き手・石川達也)

 印象に残っているのは、旧国鉄士幌線タウシュベツ川橋梁(北海道上士幌町)と天の川を撮った写真です(ツイッターに投稿され、1・1万件のリツイート、2・1万件のいいねを獲得)。昔は汽車が走っていて、今は一年のうち湖に沈む時期もある橋です。初夏の頃には湖から顔を出しています。

 宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」が子どもの頃から好きで、それを連想させる風景として撮りました。

 橋の上にちょうど天の川が通っていて、北十字星もある。銀河鉄道が北十字星から出発して、天の川を南に進み、南十字星まで走っていく。ちょうど銀河鉄道の路線と、昔は汽車が走っていた、朽ち果てて今にも崩れ落ちそうな橋を、なんとか写真に重ねて収めようと挑戦しました。

 天の川が湖の水面に映る風のない日に撮りました。チャンスを狙って2日間訪れ、2日間とも撮れました。ここはヒグマが出るので、あまり行きたくはないところなんですが。

 肉眼ではここまで星は見えないです。数秒露光すると肉眼と同じくらい映って、10秒を超えると肉眼をはるかに超える星の数と天の川の色が映ってくる。肉眼を超えるものまで映ってしまう。写真の魅力はそこにあります。

 ツイッター(@KAGAYA_11949)のフォロワーは40万人を超えていますが、自分でもびっくり。どうしてこんなにすごい数にまで増えたんだろうと思っています。

 7月7日の七夕の星空の投稿は、毎年人気があります。七夕は梅雨時で天気が悪く、天の川を見ようと思ってもなかなか見られない。「逆に撮ってやろう」と思って、昨年まで3年連続で北海道に行きました。「日本全国で、明日どこかは晴れるに違いない」と、撮影に行く場所を前日に決めるんです。意地でも撮りに行っていますね。今年は天気がよかったので、関東地方で撮影して投稿しました。

 ファンサービスというより、私自身が撮りたいという気持ちが強いです。だって、七夕の写真、見たいじゃないですか。

 ツイッターでは、自分で見て本当にいいものをお知らせしている。ツイッターのためというよりは、まずは自分で楽しむ。そしてそれを共有できたらいいと思っています。

 富士山の笠雲と満月の写真は、3年ぐらい狙っていました。満月のタイミングがそもそも少なく、笠雲は狙っても撮れません。満月の度に富士山に行って撮っていました。3年間で100昼夜ほど通いました。

 合計で30万枚くらい撮りました。(大量の写真をつなぎ合わせて動画のように見せる)タイムラプスで一晩に何千枚も撮るので、それほど多くはないですよ。でも、カメラ1台で30万枚も撮ったら、カメラが壊れますけどね。

 昔、フィルムのカメラは感度が高くありませんでした。星を「点」として撮るには、シャッターを10分ほど開けっ放しにして、星の日周運動に合わせてカメラを動かす必要がありました。そうすると、風景は動いてしまう。星空と風景が同時に止まった写真は撮れませんでした。

 しかし、最近のデジタルカメラは感度が高くなり、わずか20~30秒で星空が映ってしまう。星空と風景が同時に止まった写真が撮れるようになりました。

 星空と風景を同時に撮れるのは、それはもう楽しくて。初めてカメラを手にした時のようなワクワク感をデジタルカメラで感じるようになりました。人生第2の天体写真を撮る楽しみを味わっています。

 夜空は、空を見上げるだけで宇宙を見渡せる窓みたいなもの。誰でも夜空を見ると、宇宙の姿が見える。そこにははるか遠くの星々も、私たちのお隣の月も、一晩で移り変わる宇宙の姿を毎日見ることができる。素晴らしいことです。

     ◇

 〈KAGAYA〉1968年、埼玉県生まれ。絵画制作をコンピューター上で行う「デジタルペインティング」の世界的先駆者。宇宙と神話の世界を描いた画集「スターリーテイルズ」などを出版、プラネタリウム番組も手がける。写真集に「星月夜への招待」「天空讃歌」。夜空の写真をアップするツイッター「@KAGAYA_11949」は、フォロワー数が40万人を超える。