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 鉄棒の最高I難度の大技と無名の日本選手に、にわかに注目が集まっている。カナダ・モントリオールで開かれている体操の世界選手権で、鉄棒の種目別決勝に進出した宮地秀享(ひでたか、茗渓クラブ)だ。8日(日本時間9日午前)の決勝に用意する新技・伸身コバチ2回ひねりに成功すると、「ミヤチ」の名がつく。

 体操では五輪や世界選手権など国際大会で初めて成功させた選手名をその技の名につける慣例だ。国際体操連盟が予選前に、ミヤチを含め、今大会で名前がつく可能性のある男女計16個の新技を発表した。

 コバチ2回ひねりは、鉄棒から手を放しながら下から上に振り上がり、バーを越えながら後方に2回宙返り、2回ひねって、またバーをつかむ。すでにブレットシュナイダー(ドイツ)の名前がついており、これを伸身で行うとミヤチになる。

 宮地は9月29日の本会場練習で、どよめきを誘った。予選の演技を練習したあと、もう一度鉄棒を握り、伸身でコバチ2回ひねりだけを試した。落下したが、各国関係者や報道陣から歓声が上がった。

 筑波大大学院1年の宮地がブレットシュナイダーに取り組み始めたのは筑波大時代。4年時に試合で2回試みたが、いずれも落下した。

 大技のコツをつかむきっかけになったのは、ブレットシュナイダーを卒論で取り上げたことだった。コーチング学を専攻しており、「技術を伝えるために言葉にする作業をしたことで、頭の中が整理された」という。実際の演技構成に加えたのは4月の大学院進学後で、伸身でやることも含めて、「2カ月程度で試合に使えるようになった」と急速な進歩を遂げた。

 決勝では、演技の冒頭に伸身ブレットシュナイダー、さらに普通のブレットシュナイダーとつなぎ、五つの手放し技を連続させる。すでに6月の全日本種目別選手権で成功させた。

 ぎりぎりの予選8位で決勝に進んだ宮地は「8位以下はない。技を出し切って、金メダルを取りたい」。命名への執着はないが、新技成功が優勝には必要になる。(潮智史