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 東京電力福島第一原発事故でふるさとの生活が奪われたとして、福島県の住民ら約3800人が国と東電に生活環境の回復や慰謝料など総額約160億円の賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁(金沢秀樹裁判長)は10日、国の責任を認め、うち約2900人に総額約5億円を支払うよう国と東電に命じた。生活環境の回復を求める訴えは却下した。

 原発事故を巡る同様の集団訴訟は全国で約30あり、福島地裁での判決は前橋、千葉の両地裁に続き3例目。

 福島訴訟では、国の避難指示が出た区域の原告は約1割。大半は福島県内の避難指示が出なかった地域の住民で、宮城や茨城、栃木の住民もいる。

 原告は「原発事故前の暮らしを取り戻したい」として、居住地の空間放射線量を事故前の水準とする毎時0・04マイクロシーベルト以下に引き下げる「原状回復」を要求。実現するまで、毎月5万円の慰謝料を求めた。

 また、原告の一部は原発事故で仕事や人間関係を失ったとして、1人2千万円の「ふるさと喪失」慰謝料も求めた。

 これに対し、国や東電は放射線量を引き下げる具体的な方法が不明確で、金銭的にも不可能などと反論。賠償も国の基準の中間指針に基づいて支払った金額で十分だとしていた。

 原発事故に対する国と東電の責任については、原告は地震調査研究推進本部が公表した「長期評価」などを根拠に、国側は原発の敷地高さを超える津波を予測できたと主張。国側は長期評価には様々な反論があったとして、「科学的根拠に乏しい」と反論した。

 今年3月に最初に判決が言い渡された前橋地裁は、国と東電についてともに津波を予見できたと指摘。対策を怠ったと認め、計3855万円の支払いを命じた。

 一方、9月の千葉地裁は国の賠償方針を上回る支払いを命じたが、国の責任は否定。東電についても重大な過失があったとは認めなかった。