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(6日、ソフトバンク4―3オリックス)

 右腕の「覚悟」が、一度は手を離れかけたタイトルを、最後に呼び戻した。

 ソフトバンクのレギュラーシーズン本拠地最終戦、先発のマウンドに立ったのは千賀滉大だった。今季ここまでの勝率は7割6分5厘でリーグトップ。昨季は勝率8割ながら12勝にとどまり、13勝以上の表彰条件を満たせず「最高勝率」のタイトルを逃したが、今季はすでに13勝をあげている。この試合に登板しなくても、自身初のタイトル獲得は確実な状況だった。

 しかし、千賀は登板を志願した。前回登板で今季最多7失点を喫し、クライマックスシリーズを見据えると、「このままでは終われない」という気持ちが消せなかったからだ。

 もし、この試合で黒星がつけば、3厘差で2位につける同僚の東浜巨にタイトルを明け渡すリスクを抱えての登板は、五回に2者連続弾を許すなどして、2点差のまま6回3失点で降板。祈るような思いで味方の反撃を待った。そして1点を追う九回、2死から上林が同点適時打を放つ。この時点で千賀の黒星は消えた。ベンチにいた千賀は両手を上げて喜びを爆発させ、ベンチ前に立って何度もお辞儀を繰り返した。チームは十二回にサヨナラ勝ちし、「みんなでつないで点をとってくれてありがたい」。

 この日、2番手で救援し、無失点で可能性をつないだ和田も、右腕の心意気を感じていた。「僕はやめとけと言ったんですけど、千賀なりの美学があると思う。ずっと頭にあったと思うが、これで吹っ切れたと思う」

 劇的な展開で初タイトルを確実にさせた千賀は、「1年間やってきて規定投球回がとれた。自分には(タイトルは)ないと思っていたが、うれしいという気持ちももちろんですし、不思議な感じですね」。試合後の喜びは控えめだった。(甲斐弘史)

 ○工藤監督(ソ) レギュラーシーズン本拠最終戦でサヨナラ勝ち。九回に追いついて延長に持ち込み「(先発の)千賀の負けを消せて良かった」。