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 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、片側の手や足の筋肉などが萎縮し、次第に全身に及び、最終的には発語・のみ込み・呼吸に障害があらわれ、人工呼吸器をつけないと平均3、4年で死亡するという難病です。脊髄(せきずい)や延髄の運動神経細胞が徐々に機能を失って、筋肉が動かなくなるのです。約150年前から存在が知られていますが、いまだ治療法が見つからない難病です。日本の患者数は約9千人と推定されています。

 知能は侵されないので、患者さんは自分の状況と向き合わなければなりません。1971年に私が大学を卒業した頃は、過酷な病気なので告知しないのが一般的でした。しかし勇気ある患者さんたちが「この病気を世の中に知らせ、治療法の開発や療養環境の改善を訴えなければ」と立ち上がりました。それに押されて、国は難病指定によって医療費を減免したり、人工呼吸器を医療保険の対象としたりしてきました。

 皆さんは、昨年5月、衆院で予定されていたALS患者の意見陳述が、「時間がかかる」という理由で中止となったことを覚えているでしょうか。その方が、現在日本ALS協会長を務めている岡部宏生さん(59)です。人工呼吸器をつけて一人暮らししている岡部さんは、口の形から言葉を読み取ってもらう手段で思いを伝えています。その後国会への批判が高まり、参院ではALS患者の現状を訴えることができました。

 このように日本ALS協会が中心となり、世論喚起や国への働きかけを強めています。今では例外的ですが、岡部さんのように、多くの職種の方々のサポートを受けて一人暮らしをしている方もいます。しかし、十分なサポートを得られず、苦労している方々が大勢いるのも事実です。

 次回以降は、研究者・患者さん・患者さんを支えるボランティアがリレー執筆する形でALSを理解して頂けたらと思います。

<アピタル:医の手帳・ALS>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/(大西医院神経内科・内科 大西洋司院長)