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 ノーベル平和賞受賞が決まった国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」。構成団体であるピースボートの東京都新宿区の事務所では、関係者が喜びを分かち合った。

 「うわっ、すごい!」

 約50人がインターネット回線で映像をみつめたパブリックビューイング。ノーベル賞発表の瞬間、歓声が上がった。世界各地で証言を続けてきた被爆者たちは、手を握り合い、抱き合って涙ぐむ人も。司会者が改めて「ICANが受賞しました」と紹介すると、若者たちから拍手が起きた。

 ピースボートは、2007年にICANが発足した当時からの賛同団体で、世界一周航海の船に被爆者を乗せて、各地で証言する旅を08年から続けてきた。これまでの証言会は10回にのぼり、約100カ国で170人以上の被爆者が被爆体験を語ってきたという。

 16歳のときに広島で被爆した三宅信雄さん(88)は、「この年まで生きてこられて、この瞬間に立ち合えたのは、本当にうれしい。これまでたくさんの被爆者が亡くなられた。ここにいる若い人たちに思いをつないでいきたい」。

 5日、国連に約515万筆の署名を届けた「ヒバクシャ国際署名キャンペーン」のリーダー林田光弘さん(25)は、「核なき世界を求めてきた人たちに大変な励みになる。ただ、これまでもオバマ大統領が受賞するなどしてきたが、核はなくなっていない。より多くの国が参加する条約になるかどうかは、私たち市民にかかっていると思う」と決意を新たにしていた。

 午後7時半からは記者会見が開かれ、共同代表の吉岡達也さん(56)が「心から光栄に思うし、興奮している」と喜びを語った。

 ICANの国際委員の1人で、被爆者とともに海外に移動中のピースボート共同代表の川崎哲さんは機内からメッセージを送った。「まず、この受賞は勇気をもって声をあげてきた広島、長崎の被爆者に向けられたものであり、世界中の核実験で被害を受けた人たちに向けられたものだ。日本は唯一の戦争被爆国であるにも関わらず、核兵器禁止条約への署名を拒み、平和憲法を変えようとしている。平和賞の受賞はそうした動きに再考を迫るものだ」(杉原里美、清水大輔)