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 社員の違法残業を防ぐ措置を怠ったとして労働基準法違反の罪に問われた法人の電通に対し、東京簡裁は6日、求刑通り罰金50万円の有罪判決を言い渡した。山本敏博社長は判決後、取材に応じ「社会的責任を果たせなかったことを深く反省している」と語った。

 判決は、電通で2015年10~12月、過労自殺した新入社員の高橋まつりさん(当時24)ら社員4人が最大で月19時間余りの違法残業をしていたと認定。菊地努裁判官は「尊い命が奪われる結果まで生じたことは看過できない」とした。

 電通では一時、全社員の2割近い1400人前後が毎月違法残業していたと認め、「長時間労働は常態化していた」と述べた。また、労働基準監督署から是正勧告を受けた際も、東京五輪・パラリンピックの業務の受注機会を失うことを避けようと、残業時間について労使で定める「36(サブロク)協定」の上限を引き上げて形式的に違法状態の解消を目指したと認め、「刑事責任は重い」とした。

 菊地裁判官は量刑について、社会的制裁を受けたことや再発防止を誓約したこと、過去の同種事件との均衡を考慮したと説明。山本社長に「(電通は)過去にも同じ点が指摘され改善されなかったいきさつがあり、働き方改革が実行されていくか疑問を持っている人もいる」と説諭し、「業界を代表する会社。社会的役割を果たしてもらいたい」と述べた。

 今回の裁判は、検察が略式起訴した電通について東京簡裁が、非公開の書面審理で結論を出すのは「不相当」と異例の判断をしたことで開かれた。法廷では、ずさんな労務管理が指摘され、判決も認めた。これらは非公開の書面審理ではわからず、日本労働弁護団の徳住堅治会長は「労基法を守らない会社に警鐘を鳴らした」と評価した。(長谷文、藤原学思)

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