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 神戸製鋼所でまた、品質管理の不祥事が発覚した。自動車に使われるアルミニウム製品の強度などを偽って出荷。1年前、グループ会社でばね用ステンレス鋼線の強度偽装の不祥事が起きたばかり。不正は本体を含む「組織ぐるみで常態化」していたことになる。信頼性は損なわれ、経営責任が厳しく問われる。

 8日に記者会見した梅原尚人副社長は、「実際に手を下したり、黙認したりしていたのは管理職を含めて過去1年間で数十人」と語り、「組織ぐるみか」と問われ、「はい」と答えた。

 不正の背景は、「納期を守り、生産目標を達成するプレッシャーの中で続けてきた」と分析。一方で、「品質に関する意識が弱いとは考えていない。(納入先との)契約を守る意識が低かった」と釈明した。

 不正は、今秋の社内監査を控え、工場での自主点検で見つかった。梅原氏は「かなり古い時期から(不正が)あった」とも話した。10年前から改ざんが続いているケースも確認され、常態化の可能性を認めた。今回、検査回数を少なくする手抜きも発覚した。

 昨年の不祥事発覚で、「一気に是正すると影響が大きく、踏み切れなかったようだ」と説明した。再発を防ぐ取り組みが不十分だったと認めた形だ。

 経営責任について梅原氏は「経営陣も、もちろん責任を考えていく」とした。

 同社は国内3位の鉄鋼メーカー。不正の対象製品は自動車、航空機、電子機器など幅広い分野に及ぶ。トヨタ自動車や三菱重工業グループ、JR東海など出荷先は約200社。品質軽視の組織ぐるみの不正は、日本のものづくりの土台を揺るがしかねない。トヨタは8日、「安全を最優先に考え、影響を早急に確認する」とコメントを出した。(小室浩幸、野口陽)

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 神戸製鋼所は8日、アルミや銅製品で強度や寸法などを偽装していた問題で、梅原尚人副社長が記者会見を開いた。問題のある製品は、真岡(栃木県)など4工場から自動車メーカーなど約200社に出荷されていた。主なやりとりは次のとおり。

 ――関与した社員は。

 「調査中だが数十人。この1年間で、のべ人数ではない。管理職も含まれている。実際に手を下した、知りながら黙認していた、うすうす知っていた。いろんな段階がある。いまは第三者の法律事務所が入って事実調査や再発防止策を考えている。われわれ経営陣も責任を考えていく」

 ――組織ぐるみか。

 「はい」

 ――2016年にもグループ企業でデータの改ざんが発覚したのに、なぜまた起きたのか。

 「法的規格に違反していないかは、かなり高い関心をもって教育や監査をした。今回は法的規格ではなく、民間のお客様から求められた仕様を逸脱して書き換えた。民間同士の契約に関する管理、監査あるいは教育が不十分だったと思っている」

 ――安全性への問題は。

 「あり得る。お客様にも検証していただいている。現時点で何か安全性で疑いを生じさせることは起きていない」

 ――いつ報告があったのか。

 「アルミ銅部門が自主的に点検して発覚した。われわれが知ったのが8月30日。アルミ銅部門の管理職が幹部に言い、それが取締役レベルに上がってきた。調査中だが、現場の管理職にはすでに知っていたという人たちがいる。わけがあって言い出せなかった、という」

 「納期を守らないといけない、生産目標を達成しないといけない、というプレッシャーの中で続け、相当悩んでいたようだ。是正しないといけないが、一気にやると影響が非常に大きい。それで踏み切れなかったという姿が少しずつ浮かんできている」

 ――なぜ公表まで1カ月超もかかったのか。

 「まず事態がどんなものか、われわれが把握しないといけない。お客様にも一報をしないといけない。これだけ重大なことなので、何らかの形で早く公表しようと考えていた。ただ、お客様がいろいろな動きをされたので、中途半端だが、今日緊急に発表した」

 ――国への報告は。

 「経済産業省に報告し、いくつか指摘をいただいた。法令違反や安全性の事実関係の究明、お客様への丁寧な誠意ある対応、こういう形でのみなさまへのお知らせ、可能な限り原因究明と再発防止策を、と」

 ――出荷先の業界は。

 「個社はいえないし、業界もご容赦いただきたい。自動車が含まれるかどうかも私どもからはいえない」

 ――自動車に使われていれば、リコール(回収・無償修理)に発展するのでは。

 「お客様と協議中。可能性はゼロではないが、現時点ではうかがっていない」

 ――決算は17年3月期まで2年連続で純損益が赤字。経営陣からのプレッシャーがあったのでは。

 「むちゃな形で生産目標、業績目標を徹底的に追求して、未達成なら懲罰をするというマネジメントはなかったと思う。一方で、納期を切らすとお客様の生産ラインがとまる。そちらのほうがプレッシャーがかかる」

 「不適切な製品を出荷したことで、すぐにクレームにつながったわけではない。これぐらいなら何とかお客様が使いこなしてくれるのでは、問題ないのではと経験的に感じて、人事異動の少ない工場で長年やっていたのではないか」