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 日本銀行は10日、各支店が地域の景気動向をまとめた地域経済報告(さくらリポート)を公表した。全9地域のうち4地域で景気判断を引き上げた。前回7月に続き6地域で「拡大」の表現を使った。「内外ともに弱点は見当たらない」(内田真一・名古屋支店長)と強気な声もあるが、節約志向や人手不足への懸念も出ている。

 さくらリポートは、3カ月ごとの支店長会議に合わせて公表している。今回の強気の判断の背景にあるのが、海外向け生産、輸出の伸びや、富裕層や訪日客の高額消費の増加だ。

 東海、近畿、中国では、スマートフォンや自動車向け部品の生産、輸出が好調だった。東海の景気判断は2007年4月以来10年半ぶりに「拡大している」へ引き上げた。内田・名古屋支店長は「世界経済の回復による好影響が機械、ITの生産や輸出に追い風になっている」という。

 個人消費は、近畿で8月の百貨店の訪日外国人による消費額が前年の2倍に増えた。ただ、消費者の節約志向から「小売りは競争が激しくなかなか値上げできない」(松本順丈・福岡支店長)との指摘もあった。

 人手不足の影響もある。リポートでは「人材流出を避けるため期間従業員を正社員にした」(函館の電子部品)との声が紹介された一方、「過去の経験からベアには慎重だ」(仙台の生産用機械)などの声もあった。衛藤公洋・大阪支店長は、「人手不足が企業活動を制約する、人件費が増えて収益が下押しされるという声も聞かれる。良い面、良くない面を点検しないといけない」という。(真海喬生)